bemod

2008年01月23日

受験勉強は役に立つ

和田秀樹/2007年/朝日新聞社/新書

受験勉強は役に立つこの人、受験本ばかり書いているのは何故? 儲かるからだろうか?

しかも最近はフォレスト出版などの自己啓発本に近いニュアンスが多く含まれていて、そっち系の量産体制に入っているのだなというのはわかる。和田さんって経歴が凄いのに三文文士みたいな役回りをしていて不思議。

著者は受験勉強が生きる力を養うことにつながると主張している。この考え方は小宮山博仁『 中学受験と生きる力 』にもつながる思想で、競争型の受験を肯定する論者にとってトレンドな考え方なのだろう。

彼らは志望校に受かることだけを目的にして受験勉強をすることを肯定しない。勉強を通して能力を高めることを重要視しているのだ。つまり、大学に合格するためといった目的を達成するための力(コンテンツ学力)ではなく、推論力や暗記力などを鍛える力(ノウハウ学力)を身につけよと訴えている。その結果、学力が向上し志望大学に合格するのがいいんじゃないかという。百ます計算の陰山英男さんや脳トレの川島隆太さんへの言及もあったりして、最近の流行に上手くのせている感じ。

僕はこのあたりは完全にレトリックだと思うのだが、子どもの能力の向上を願うのは教育者として悪い考え方とはいえない。また、ノウハウ学力を以下のように説明しており、

�,気泙兇泙焚樟發鯲�てることのできる知性
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��あきらめない精神力

これも納得できてしまう。でも、どこかこう小骨がつっかえたような気持ちが残ってしまうんだな。何でだろう? たぶん受験制度という構造そのものを批判的に論じることを放棄して、むしろ現実に横たわる受験制度を上手く活用して子どもの力をはぐくもうとしているところに違和感があるのだ思う。例えばそれは以下のようなところ。

受験生は入試に出るものを勉強するものだと考えれば、問題を作る側が時代に、ニーズに合った問題を出してさえくれれば、「受験学力」はそのまま「使える」学力になる。頭でっかちな受験生はダメだという批判は、入試問題を変えることで多分にクリアできる。受験勉強を批判するより、入試問題の質の低下を改善するのが先だろう。

現実に入試は存在し、子ども達は進学のために受験勉強をすることをやめない。それならば、入試にあなたたちが必要だと思う学力を詰め込めば、子ども達は嫌でもその学力を身につけるために勉強するでしょうという。このあたりもその通りだと思う。愛国心についての考え方についても興味深かった。

ただ、どこか違和感が残る。それは多分、彼の主張そのものよりも、超ポジティブな時代の渡り方(リクルート的といえばよいか…)に僕の身体が拒否反応を示しているからかもしれない。ネガティブな僕が悪いのだ。

Posted by Syun Osawa at 00:46