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2008年02月02日

メディア・バイアス ― あやしい健康情報とニセ科学

松永和紀/2007年/集英社/新書

メディア・バイアスこの本はとてもためになる。

この本を読むことで、食物に対する考え方に修正が加えられる。特に僕のような食の素人にはうってつけの本であった。というのも、これまで当たり前の事として受け止めていた事が当たり前ではなかったからだ。その一番大きな事が「オーガニック食品を食べれば健康」という神話の嘘である。

さらに、無添加、保存料不使用などが商品の購入の選択肢になっていることについても、考え方を改めるべきだと感じた。保存料の不使用は何となく健康にいいように感じるし「エコ」のイメージがある。しかし、保存料を使用しなければ、食品の廃棄率は高くなってしまう。昨今の賞味期限切れのファシズムも同様で、廃棄率が高まれば高まるほど、逆に環境には悪影響を与えているのだ。

食糧問題が深刻化するこれからの時代、農薬も遺伝子組み換え技術も食品添加物もより重要性が増す。そうした時代に、オーガニック食品=健康という宗教を妄信することはとても危険だと感じる。重要なことは、食品添加物や遺伝子組み換え食品などについて正しい知識を持ち、上手に付き合っていくことである。

メディアによってゆがめられたイメージが社会に悪影響をもたらすという現象は今後も続いていくことだろう。それが商売の大切な種になっている限り、それをやめる手立てがないからだ。ならば石原千秋が『 国語教科書の思想 』で訴えているように、メディア・バイアスに対する処方箋としてのリテラシーを子どもの頃から学ぶべきなのだと思う。

Posted by Syun Osawa at 00:58