bemod

2008年08月20日

ルポ貧困大国アメリカ

堤未果/2008年/岩波書店/新書

貧困大国アメリカ湯浅誠さんの『 反貧困 』に続いて貧困に関する本を読んだ。貧困問題では岩波書店はなかなか調子良いですね。

テレビでも散々ネタにされたワーキングプアは、いろんな願望やら思惑やらが複雑に絡んできて何だかよくわからなくなった感がある。それに対して貧困問題はわかりやすい。貧乏で金がなく生活に困っている。これだけなので。

貧富の激しいといわれるアメリカの負の部分である貧困層の生活は想像以上だった。将来に希望を持つことが完全に断たれている子供たちは、強いアメリカの幻想を丸呑みしていくブラックホールのような存在である。

そもそも僕はアメリカが日本以上に学歴社会だったことを知らなかった。学歴がなくても能力さえあれば這い上がっていける。それがアメリカン・ドリームだと思っていたからだ。ところが、この本に登場する若者たちは、学歴がないために職にありつけず、また学歴があってもコネがないために望んだ職に付くことができないのだ。日本も同じような状況ではあるが、格差を固定化するシステムのあり方は日本以上に過剰である。これでは、格差社会というよりは階級社会のようだ。

これらの原因が、今のアメリカの政策によるものだということについては、必ずしも同意できているわけではないが、勉強不足なのでなんとも言えない。

僕としては、貧乏人は貧乏人なりにほどほどに生きていけて、金持ちは調子に乗り過ぎない程度の優越感を味わいながら生きていける。それくらいの格差の中で上手い具合にやっていければ、それが一番なんじゃないかと思う(今のところ)。こういうのを中流思想というのだろうか? そういうつもりはないんだけど…。

ともかく戦争ビジネスはマジで糾弾したほうがいいよ。

Posted by Syun Osawa at 00:53