bemod

2009年04月16日

Saori@destinyインストア・イベント

2009年3月23日/17:00−17:30/ISHiMARU SOFT2 7F

このエントリは、東浩紀のゼロアカ道場 第五関門 の感想ともちょっと繋がる話かも…。

今回のSaori@destinyの新譜はいよいよ「悪ふざけ」が熟成されてきた感じ。今回の新譜用につくられた衣装なんかまさに悪ふざけ。もちろんここで使ってる悪ふざけは、良い意味で使っている。

例を一つ挙げてみる。

『ナインティナインのオールナイトニッポン』というラジオ番組には、ネタ投稿用のコーナーがあって、最初のうちはコーナーの趣旨に沿ったネタが送られてくる。ところがしばらくすると、コーナーの趣旨そのものを壊しにかかるネタが送られてくるようになる。なぜかと言うと、趣旨に沿ったネタだと面白さに限界が見えるからで、より大きな面白さを追求した結果、コーナーの趣旨を壊しにかかるネタが送られるようになるのだ。これは言い換えれば「悪ふざけ」である。そして、やがてコーナーは悪ふざけによって破壊しつくされ、寿命を迎えて終了する。

この展開に僕はある種の「メタ」的な匂いを感じ取るのだ。というのも、ハガキ職人がコーナーの構造を理解しているからこそネタのメタ化が可能なわけで、シンプルに面白さを追求し続ければ、いずれはそういう方向へいかざるを得ないということを彼らは知っている。このように面白さはエントロピー増大のように拡がり続けて、自分達が設定した枠組みを食い破るという点が、僕の好きな点でもある。これは、先日まで追いかけていた ゼロアカ道場 も同じで、あれだって僕にはシンプルな面白さを追求した結果の悪ふざけに思えたのだ。

よーするに、僕は悪ふざけが大好きなのだ。

残念ながら僕には悪ふざけを実践する素養はないが、デートピアはいい意味でも(もしかしたら悪い意味でも)悪ふざけをしているから面白い。今回のSaoriの新譜も前回同様に、そしてAira以上にPerfume以降のアイドルとエレポップとの関係を理解し、その構造で遊んでいるように思えた。

しかし、悪ふざけは破壊の美学でもあったりするわけで、実際のところ彼らは今にも消えてしまいそうな小さな世界を、Perfumeよりずっと速い速度で縮小再生産し続けている。

こうした面白さがある一方で、アイドルオタクとしての僕は、新アルバムの中で一番好きな一曲『 ステンレス・スターライト 』歌詞を読むと、ちょっと複雑な気分にもなる。この詩を本人が書いているのかどうかも、もはやわからないわけが、この悪ふざけにつき合わされているアイドルの心性みたいなものが見事に表現されていて、とっても切ない。この切なさも含めてアイドルってええやん? って話なんですが、これ以上書くとあまりにキモすぎるのでこのへんで自重しておくw

でも、そういう文脈でこの曲を聴くとちょっと泣けます。

Posted by Syun Osawa at 00:59