bemod

2009年04月19日

お金を知る技術 殖やす技術

小宮一慶/2008年/朝日新聞出版/新書

お金を知る技術 殖やす技術この本のサブタイトルには「「貯蓄から投資」にだまされるな」とある。別に騙されてるつもりはないんだけどね…。

僕の場合はお金に関するリスクを抱えたときに、今のままでは対処できない気がするので、予防線としてお金に関するリテラシーを身につけようとしているわけだ。例えば僕の親くらいの世代だと金利も余裕で1%を超えていて、何だかんだで経済そのものが上昇し続けていたから、お金について無関心のまま奇麗ごとが言えるわけだ。だけど、それは僕の今の実感とは大きくかけ離れている。だから、湯浅誠『 反貧困 』で語られていたセーフティーネットを国に求めるだけでなく、自分のほうでも構築しておこうというのが僕狙いだったりもする。

この本では、自分の持っているお金を「ある一定水準の生活やライフスタイルを維持するために必要なお金(守るお金)」と「より豊に暮らす可能性を追求するために運用できるお金(攻めるお金)」に分けて、それぞれの運用法の違いを説明している。

これは実に理にかなった方法であるが、少なくとも著者の理論に従って考えれば、僕の持っているお金はすべて「守るお金に回すべきお金」ということになってしまう。それはつまり、低所得者は金融に手を出すべきではないということである。俺…m9(^Д^)プギャー

日米の個人金融資産を単純に比較すると、日本が約1,170万円なのに対してアメリカが1,470万円となっていて、アメリカのほうがより金融資産を持っているとされている。もちろんアメリカにはバフェットのような大金持ちがいるわけで、そういう超勝ち組を入れた形での平均値なわけだ。下位層だけを比較すると、日本のほうが株式の保有率が高いのだそうだ。

こういう事情を踏まえてしまうと、投資に関心を持っている今の僕の立場というのは、自ら蟻地獄へ飛び込む蟻であり、ネギを背負ってやって来た鴨である。

著者の言いたいことは理解しつつも、彼の言う手堅さが妙に気にかかった。そこで略歴を見たら、彼は証券会社出身ではなく、銀行出身のコンサルタントであった。書かれている内容は基本的に著者の立場を色濃く反映していることはこれまでの本でも学んできているので、いろいろ納得した。これは文学でいうところの「見れば私小説は著者本人か?」的なものにも近いニュアンスとして受け止められるかもしれない。

ともかく、僕自身もっと勉強する必要がある。ネット証券を使用しての投資は始めたものの、財務諸表を読めないし、ETFについても詳しく知っているわけではない。結局はもっと勉強しないといけないということだけが、本を読めば読むほどわかってくるというのが何とも虚しい現実である。

Posted by Syun Osawa at 01:46