bemod

2009年10月21日

どこまでやったらクビになるか

大内伸哉/2008年/新潮社/新書

どこまでやったらクビになるか「会社でブログを書いたらクビになるか?」といった疑問に、労働法の専門家が答えた本。やっぱりブログはアウトだよなw …とか言いつつ、この感想文を会社のPC使って書いてる時点でどうかと思うが、ともかく最初にこのネタがあったので気になって読んだ。

これまで適当に生きてきたためか、知らないことが結構あった。契約社員として問題なく1年間勤めたら、たとえ契約期間満了であったとしても、会社側は簡単に継続雇用を断ることはできないらしい。そういえば、昔そんなニュースあったっけ…。

社会の底辺で会社員として働く身としては、自分を守るための情報はできるだけたくさん知っておきたいから、本書や荻原博子『 給料はこうして増やしなさい! 』など、下世話な金にまつわる本をちょくちょく読んでいるのだが、僕自身に直接役立ちそうなものは案外少ない。

というのも、こうした本に書かれている内容の多くが、大企業の社員向けに書かれていることが多いからだ。中小企業だとそもそも最初から労働法が守られていないケースが多いために、法律の則った原理原則論が通じなことが多々ある。そして、中小企業の懲戒解雇については、就業規則の厳守よりも、経営者や上層部の心情的な部分が判断を大きく左右することもあるので、ベタに労働法の原理原則を貫くと悲惨な目に遭ったりもするわけだ。

「どこまでやったらクビになるか?」という問いの本質は、原理原則論ではなく程度問題なのだ、と僕は思っている。会社のPCを私用で使っていたのがバレてクビになった人は、使用目的が出会い系サイトだったし、経歴詐称問題でクビになった人も、仕事に必要な専門知識を持っていると単純に嘘をついていた。これらの事例は、会社側の判断に対して心情的にも頷ける部分が多い。だからと言って、会社でmixiやってる人とか、多少の経歴詐称をしている会社員などが全員クビになっているかと言うとそうでもないだろう。つまり、会社の上の人の感情を逆なでしない程度にほどほどにやるというのが一番なのだ。そして、このバランス感覚こそが大事なのであり、労働法の問題はそのバランス感覚を補強するものでしかない。…と考えておいたほうが、たぶん現実的である。

それよりも気にかかるのは、定年と年金の問題だ。

これは政策の問題でもあるし、いずれは訪れる問題であるから無視できない。2013年には65歳定年が完全義務化するそうだが、はたして僕が定年を迎える頃までその状態がキープされているだろうか? もしも定年が70歳に引き上げられれば、職にあぶれた大量の60代を生むことにもなる。僕はその高齢者ワーキングプアになる自信があるので、このどうしようもなさに関してはわりと憂鬱である。

Posted by Syun Osawa at 00:10