bemod

2009年11月03日

超シンプル図解術

永山嘉昭/2007年/すばる舎/四六

超シンプル図解術最近、図解にハマりかけている。それは多分、ネットにおいてTwitterのつぶやきのような言葉の断片が拡散している状況がOKなら、適当な図解で勝手なイメージを拡散させることもOKだろうと脈絡のないことを思ってしまったからだ。で、図解の本を調べると、これが結構たくさんの種類出ている。その多くは企業プレゼン用の図解の作り方を説明しているようだ。

この本もプレゼン用に使われることを念頭に置いて書かれているのだが、かなり基礎的なことが書かれていたので、シンプルに図解のスキルだけを身につけたい僕のような人間にとっても、導入本としてはまずまずだった。図解は「つなぐ」「囲む」「配置する」によって行うのだとし、フローチャート、マトリックス、ロジックツリー、デシジョンツリーとかなどの説明がなされている。いまどきフローチャートとか言ったら笑われそうだけど、図解一般を考えるとまだまだ有効だろうと思う。

図解のための図を作るとき、その作り方には2つのアプローチがある。1つは結論からイメージを膨らませて図解する帰納法的な図解で、この本ではそれが最良とされている。企業のプレゼンがメインであれば、その方法が最も目的に適ったものなのだが、僕はもう1つの方法にこそ図解の本当の面白みはあるのではないかと思うのだ。それは、考えながらイメージを膨らませていくという演繹的な図解で、頭の中に浮かんだキーワードを全部並べ、それを順に整理していくというものである。これは岡田斗司夫『 プチクリ 好き=才能! 』でも、似たような方法が紹介されていた。

頭の中にあるごちゃごちゃしたイメージをキーワードとして並べる。そこまでは小論文を書くような場合でも、今のようにブログに感想文を書く場合でも同じだろう。言葉だけの場合は、そのキーワードを並べ替えながらストーリーを作っていくわけだが、図解はそのキーワードをイメージの世界へ戻してやることになる。イメージは言葉と違って千差万別なので、それをベタに行うと10人が10人ともバラバラの図を作るような事態になってしまう。それはマズい。だから、そこに描かれているものは「状態・構造」「関係」「変化」を表すものであり、その状況を「つなぐ」「囲む」「配置する」によって説明するというルールに従っている必要があるのだ。そうすることで、そこに描かれたイメージは、ただの絵ではなく、図解としての意味を持つようになるのである。

この本にはいくつか演習問題がついていて、その最後の問題が、その方法をわかりやすく説明していたので、僕にはなかなか勉強になった。もちろん図解で表現できることには限界があるので、思考の整理学と呼べるほど厳密ではない。しかし、冒頭に書いたように、ネットにおける言葉の有り様を考えれば、イメージもまたそうであっても構わないという思っているし、言葉では表せない世界がもう少し違った形で広がっていくことも僕には面白く思えるのである。

Posted by Syun Osawa at 00:13