bemod

2010年03月12日

10歳からの相対性理論 ― アインシュタインがひらいた道

都筑卓司/1984年/講談社/新書

10歳からの相対性理論 ― アインシュタインがひらいた道10歳にこれ読ますかw

普通に「E=MC^2」とか出てくるけど、宙博 で高度な質問をしてた小学生とかは普通にこれ読むんだろうなぁ。10歳と書かれてあったから他の積読の相対性理論本よりは簡単だろうと思って読み始めたら、案外僕のレベルにピッタリの内容の本だった。

この本では、相対性理論などの学問的な内容はアウトラインをなぞる程度に留められており、アインシュタインの半生とその当時の世の中の状況のことが中心に書かれている。この時点でタイトルに若干偽りがある気がしないでもないが、アインシュタインの半生をwikipediaより深く知ることができたし、相対性理論などの超ザックリとしたアウトラインを復習することもできたので、僕への導入本としてはかなりいい感じだった。

アインシュタインの半生を描き出す際、著者の政治性ゆえか戦争との関わりについて多く言及されていた。その中で面白かったのは、アインシュタインが一般相対性理論を発表した頃、世界では第一次世界大戦の真っ最中であったにもかかわらず、敵国・味方国の区別無しに多くの研究者がこの理論に夢中になっていたことだ。

そして、第一次世界大戦後まもなくして、敵国であったはずのイギリスの日食観測隊によってその理論が確かめられたことにより、彼の名声は爆発的に広がり、世界各地の大学から誘いを受けることになる。このように、戦争などのイデオロギーよりも学問のほうが優先されるところが、自然科学系人たちの面白いところだと思う(今だったらKYということになるのだろうが…)。他にも、ボーアとの相対論 VS 量子論のやり取りもわかりやすく解説されていて、面白かった。これなんて、未だに人文系の人が書くエッセイで比喩としてよく用いられている気がするなぁ。

Posted by Syun Osawa at 01:17