bemod

2010年03月18日

PR誌読み漁り(12月−3月前半あたりの中から)

PR誌を読むのが好きで、会社の昼休みにちょくちょく読んでいる。その理由は出版界のトレンド(いろいろな層の)をザッと知るのに最適だからだ。しかも無料で。これまで、PR誌のちょっとした感想は無駄話に書いてきたが、最近書いておらず、メモが溜まってきたので、忘却録のために放出。

熱風 2009年12月号

宮崎駿氏のインタビューが載っていた。おじいちゃんの薀蓄って感じなんですが、僕が信者ゆえかスッと心に入ってくる。宮崎氏の創作の着想ってほとんど身近なところからしか出発しない。隣の席の人を観察するところから普遍性を獲得しているのがとても素晴らしい。あと、何気に民主党支持してるのね。

書標 2010年1月号

マックス・フライシャーの息子であるリチャード・フライシャーが書いた『マックス・フライシャー アニメーションの天才変革者』という本が出たらしく、リチャード・フライシャーが文章を寄せていた。…と思ったら、その代理として翻訳者の・田栗美奈子さんが著者の名前で文章を寄せていた。そんなのありかw

特集の「個人全集を読む」もなかなかいい。全集って金持ちのお年寄りが、物欲を満たすために買うものだと思っていたので(つまり、読むものではなく置物として…)、それをちゃんと読んでいこうという試みは素敵。個人全集ってたくさん出ているし、それこそ一人では到底読むことは不可能。だからこそ、みんなの力を結集して何とかしてやろうという発想は、とても今風だ。集合知はこういうところでこそ生かされるべきだと思う。

図書 2010年1月号

原研哉氏の「柳宗理の薬缶」が面白かった。「デザインとはスタイリングではない。(中略)デザインとは生み出すだけの思想ではなく、物を介して暮らしや環境の本質を考える生活者の思想でもある。したがって、作ると同様に、気づくということのなかにもデザインの本意がある。」と書かれていて、僕のデザインに対する意識を少し変えようと思った。

波 2010年1月号

法月綸太郎氏による東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』の書評「東浩紀と「家系」の問題」が熱かった。ぶっちゃけ何書いてるかあまりよくわからなかったけど、東氏の志向の全体像を彼の他の著作なども絡めながら小説について論じている。枚数的にも書評の枠を飛び越えた内容。あと、村上春樹氏のエッセイもあり。村上氏の小説以外の文章って、読みやすくて結構好きだったりする。

熱風 2010年1月号

映画ではなく映画館の話。僕もよく利用するバルト9の話やアバターの3D映像の話などが載っていた。古い映画館が淘汰されているのは悲しいが、シネコンは確実に素晴らしい市長環境を提供してくれているのも事実。映画館も人の集まる場という捉えかたをすれば、まだまだ価値の高いスペースになる可能性を秘めていると思う。

scripta no.14

上野千鶴子氏の「「父の娘」のミソジニー」は面白かった。東浩紀氏の『クォンタム・ファミリーズ』を同時期に読んでいたこともあって、妙な関係性を感じてしまった。あと、密かに始まった速水健朗の「幻となった東京オリンピックと都市計画」という連載もなかなか面白い。

UP 2010年1月号

佐藤康宏氏の「日本美術史不案内」という連載で、差別に踏み込んだ表現としての漫画ネタが扱われていた。特に四肢の無い体を持つ登場人物の活動そのものが、差別を強烈に照射している。戦後漫画の成熟した時期にはそういう作品が続出したということらしい。

ちくま 2010年2月号

大江健三郎、成田龍一、小森陽一による鼎談「加藤周一が考え続けてきたこと」が掲載されていた。左翼臭をうんぬんする人もいるかもしれないが、3月5日の東工大シンポと比べると、このあたりの人たちは凄いちゃんとしてるなぁ。

波 2010年2月号

吉野仁氏が書かれた小島達矢『ベンハムの独楽』の書評を読むと、なかなか面白そう。読もう。佐藤健太郎氏が自著解説で書かれた「ゼロリスク志向」と「2010年問題」もなかなかツボった。ようするに人は副作用を受けたくないというリスク回避の潔癖症が強すぎるという話。

SCREAM 2010年2月号

Massive Attackのインタビューで新婦が出ることを知る。あと、The Blue Heartsのベスト盤。最近、メジャーレーベルはベスト盤商法以外でまともな収益が上げられているのだろうか? 心配だ。

本 2010年2月号

このPR誌は東浩紀氏の「一般意志2.0」という連載を追いかけている。今のところ大した進展はなし。あと、昨今当人がテレビなどで話されている内容とかなり重なっていて、展開的にはグッとくるところは少ない。もう少ししたら熱い方向へグラインドしてくるのだろうか。期待。

図書 2010年2月号

この号は僕の好きなエッセイが結構あった。浦雅春「チェーホフの愛について」とか荒このみ「マルコムXからオバマへ」、大江健三郎「困難な時のための」など。大江のエッセイは親交のあったサイードとの思い出話を書いていてなかなか貴重。

一番面白いのは、小野耕世「小野佐世男のジャワ」で、漫画家だった父親の従軍記録部隊の話などを書いている。戦争と芸術 関連の本として、僕的にはかなり重要な記事なので、書籍になる前に連載を追うことにしよう。

ランティエ 2010年3月号

今野敏氏と押井守氏の対談あり。今野氏の小説に「パトレイバー」の特車二課が登場しているらしい。しかも、ニヒルな後藤も当人として登場しているそうな。あんまり話題になっていないが、すごいメディアミックスだなw

Posted by Syun Osawa at 00:42