bemod

2010年05月03日

ホテル・ルワンダ

監督:テリー・ジョージ/2004年/イギリス・イタリア・南アフリカ共和国合作

ホテル・ルワンダアフリカって至るところで内戦をやっている印象があるので、個々の国がどういう事情で内戦を起こしているかはほとんど知らない。そのため、この映画で描かれているフツ族によるツチ族の虐殺も、少し前まではソマリアで起きたものだと勘違いしていた。そのくらい僕の意識は低かったのだ。

この映画の中で描かれるルワンダの紛争は民族争いだ。ツチ族とフツ族という二つの民族の人口比はおよそ1:9で、ベルギーによる植民地時代は人口の少ないツチ族が政権を握っていたが、独立後にその勢力は逆転した。この両者はIDカードではっきりと区分けされており、しばしばその民族間の対立が政治利用されてきたという歴史がある。そして、この悲劇は起こった。

この悲劇において、フツ族でありながらツチ族を守り続けたのがこの映画の主人公・ポール(ホテルの副支配人)である。妻がツチ族だったということもあるが、国民全体が過激な感情に突き動かされている中で、常に冷静に物事を判断でき、なおかつ勇気を示せる素晴らしい人物だった(実在の人物らしい)。

ルワンダでは二つの民族の対立が紛争の中心になっているが、他の国ではまた別の理由で紛争が行われている。ソマリアでも、ウガンダでも、コンゴでも違っている。共通しているのは、武器が先進諸国から大量に流れていて、殺人が残虐化、泥沼化していることだ。教育が十分ではない地域で、ひたすらに戦士として育てられた子どもが戦争のためだけに生きる。先日読んだウガンダ紛争のルポ(『 g vol.3 』掲載)には、そんな少女戦士の様子が書かれていた。

第二次世界大戦後、日本はものすごい勢いで経済成長を遂げ、先進国の仲間入りをした。その一方で、アフリカの諸国は、未だに数十年前と変わることのない殺し合いを続けている。この違いは何なのか? 様々な理由があるのだろうが、僕にはわからないことだらけである。とりあえず、宮本正興&松田素二 編『新書アフリカ史』(講談社現代新書)あたりから少しずつ勉強してみようと思う。

Posted by Syun Osawa at 02:11