bemod

2010年06月18日

鳩山由紀夫の政治を科学する

高橋洋一、竹内薫/2009年/インフォレスト/新書

鳩山由紀夫の政治を科学する版元は違うが、『 バカヤロー経済学 』の続編。サイエンスライターの竹内氏が聞き役となり、先生役の高橋氏が鳩山政権の政策の裏側にはたらいている力学を、わかりやすく解き明かしていくという内容だった。

去年、鳩山氏が首相に就任したとき、理系の元学者(しかもかなりのレベル!)が首相になったということで、ちょっとだけ期待していた。というのも、この本にも書かれている通り、鳩山氏が研究していたのはOR(オペレーションズリサーチ)というもので、困難な状況において目的や条件をはっきりさせ、ベストな解答を求めるための研究だったからだ。理念を突き通すことよりも最適化が求められる時代にあって、彼の政治戦略はかなりまともなものだと思えた。

今となっては鳩山氏のOR戦略は失敗に終わってしまったわけだが、社民党を沖縄問題共々離脱させるという裏の力学を働かせていたのだとすれば、ちょっと凄い。次の参院選で民主党が単独過半数をとれば、国民新党も社民党もいらないわけだから、その前段階として社民党を引き下がれないところまで追い込んだ…とも考えられる。そして、鳩山氏が自ら沖縄問題の責任をとる形で辞任したことで、沖縄問題は棚上げにする。そこまで考えてたといたとしたら…。実際に、民主党の支持率は回復してしまったわけで、これもOR戦略なのかも。

…つか、こんなこと考え出したらどんな事でも言えてしまうのではないか?w 本を読んでいて、自民党の基盤を叩いていくという話などは「なるほど!」と思うことも多かったが、その一方で陰謀論めいた怪しげなものも混じっていた気がする。その真偽は僕にはわからないから、とりあえず黙って頷くほかない。

たしかに裏読みはかなり楽しい。ついつい高橋氏の解説に全幅の信頼を置いてしまいそうになるのだが、この裏読み自体もある種のプロパガンダとして機能するはずなので、そのことにも気をつけねばとは思う。いや、それにしても科学を軸にした裏読みは楽しい。このシリーズは今後も続けて欲しい。

Posted by Syun Osawa at 01:19