bemod

2010年08月28日

ストンプ・ザ・ヤード

監督: シルヴァン・ホワイト/2006年/アメリカ

ストンプ・ザ・ヤードアメリカでスマッシュヒットしたダンス映画だそうな。タイトルに「ストンプ」と入るので、僕はてっきりモップとか使って音を鳴らす話なのかと思ったら、ちゃんとした今風のダンス映画だった。

とはいえ、その中で展開されるダンスは、いわゆるストリート系のダンスというわけではなく、大学に伝統的にあるオールドスタイルのダンス(日本だと何だろう? ちょっと想像がつかないが…応援団っぽいノリも一部にある感じ)がメインになっていた。ストンプのダンスチームは大学にいくつもあって、一番優れたダンスを披露したチームが優勝となる。

これだけなら、まぁ…いわゆるストンプの映画なわけだけど、ゼロ年代のダンス映画はすべてハイブリッドすることが前提になっているらしく、この映画の中でもストリートダンスとの融合が一つのテーマになっている。

ストーリーは次のようなものである。

ストリートでダンスバトルを繰り広げる主人公の兄が対抗するダンスチームのメンバーに殺され、それをきっかけにして主人公はストリートから足を抜けることを決意する。そして、叔母の住むアトランタで大学に入学し、そこでストンプに出会う。その後、主人公はあるチームに加わるのだが、そのチームは常に2位に甘んじるチームであった。ここ何年もの間、ライバルチームに勝つことができずにいたのだが、この主人公がストリートダンスの要素を取り入れることによって、チームを優勝に導くというわかりやすい展開だ。

この展開はダンス映画の王道で、しかもコンテスト形式のダンス大会を、同点決勝でストリートのダンスバトル形式に持っていくという流れは、『 ユーガット・サーブド 』とまったく同じだったw しかも大事なのは仲間であり恋人であるというテーマも同じ。この時点で、ゼロ年代のダンス映画は恐ろしいほどテンプレ化しているのだなと思ったわけだけど、映画の見所はもちろんそこじゃない。

ダンス部分が圧巻で、ストリートの要素を取り入れつつもあくまで総合芸術としてのダンスに主軸を置いた演出になっていた。しかも、それぞれのチームのダンスにはちゃんとしたコンセプトがあって、ただ音楽に合わせて踊るダンスとは一線を画していた(ストーリーの無いライオンキングみたいな感じ?)ただ、ダンスのカット割り細かくしすぎるなど、無駄な演出を過剰に取り入れていたために、他のダンス映画と比べて、ダンス本来の良さが失われてしまっていたのが残念だった。

ダンスの最前線がどこにあるのかなんてことは、僕には知る由も無いが、少なくともゼロ年代に起こっているダンスの状況はとても興味深いものになっている。特に僕は、90年代に激しく細分化されたダンスが再びハイブリッドされ始めたことと、ダンスを踊る&見る場所(あえてバトルフィールドと呼んでもいいがw)が姿を消した後に、それを映画の中で新たに作り出している点に着目している。他にどれだけダンス映画が作られているのか知らないが、ともかくチビチビと見ていくことにしたい。

そーいや、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』もダンス映画だっけか。

Posted by Syun Osawa at 02:09