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2010年09月16日

江戸絵画への視線展

2010年7月17日−9月5日/山種美術館

江戸絵画への視線江戸時代って300年も続いたんだから、文化が超多様であっても全然不思議じゃない。だって、日本なんて戦後60年しか経っていないのに、ものすごいスピードで変化しているわけだから、江戸時代だって同じように網状的に文化が深化していたと考えてもいいだろう。

ただし、鎖国中だったから外からの文化の流入は薄い。だからこそ、伝統芸としての日本画はより高度に熟成され、かなりハイコンテクストな消費がなされていたのではないかとも妄想できる。今回の展覧会の中だけでも、かなりの様々な流派の絵画が展示されており、それらすべてがハイブリッドされる形で、江戸の絵画というものが浮かび上がっていたように思う。

ところで、最近の僕は、藤原えりみ『 西洋絵画のひみつ 』を読んで以来、すっかりキリスト教の絵画にやられていて、大きな物語を絵画で描くという西洋絵画のコンテクストを勉強することに夢中になっている。そのせいか、今回の展示の中でもとりわけ物語が強く出ているものに目がいった。

例えば、鈴木其一《伊勢物語図(高安の女)》は、男が浮気相手の女の部屋をのぞき見たとき、その女が自分でご飯をよそっていたのを見て、女の姿を貧乏臭いと思うシーンを描いた絵である。旧約聖書、新約聖書の物語もなかなかしょーもないが、日本の物語もかなりしょーもないのだ。

そのしょーもなさをエンタメ系にグッと引き寄せていたのが、当時最大派閥の狩野派で、狩野常信《明皇花陣図》や《七福神図》のような物語る絵巻物は、今見てもかなり楽しめる作品だった。江戸絵画も面白いなぁ。もっともっと見たい。

Posted by Syun Osawa at 01:54