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2010年10月09日

「軽うつ」かな?と感じたら読む本

菅野泰蔵/2005年/講談社/文庫

「軽うつ」かな?と感じたら読む本東大医学部卒の精神科医・中嶋聡氏の『 眠れない夜の精神科 ― 医師と患者20の対話 』を読んで、精神科でよくあるやりとりと、それぞれの症状(例えば、躁うつ病や統合失調症など)に関する簡単な知識を得た(中嶋聡氏は他にも『ブルマーはなぜ消えたのか』とか『『心の傷』は言ったもん勝ち』といった刺激的な本を出していて、これもいずれ読む予定)。

その『 眠れない夜の精神科 ― 医師と患者20の対話 』で、僕は躁うつ病ではなく、どちらかというと対人恐怖症に近い傾向にあることを知ったので、次は「対人恐怖症」の本を読むべきなのだろうが、先に『「軽うつ」かな?と感じたら読む本』を買ってしまっていたので、とりあえず積読消化。

たしかに、僕は躁うつ病ではないかもしれない。躁うつ病の特徴として挙げられている症状に、あまり当てはまらないからだ。とはいえ、僕の状況と近い部分もある。この本の著者も30代半ばで躁うつ病になったらしいのだが、何か明確なきっかけがあったわけではなく、少しずつテンションが下がっていき、倦怠感が漂うようになったらしい。で、調べてみたら躁うつ病だったということらしい。

僕も20代後半から少しずつテンションが落ちていき、20代前半までに持っていたテンション(対人関係の欲望を含め)がほとんどなくなってしまった。それは年齢のせいだったり、僕の人生設計のせいだったりするのだと思っていたが、こういう症状自体にもしかしたら「軽うつ」の症状が現れているのかもしれない。

この本の著者は臨床心理士で、医者ではない。カウンセラーの立場から、軽うつの症状とその傾向、対処の方法を書いており、前回の中嶋聡氏の内容よりもはるかに相手に対するきめが細かかった。

僕の友人にもカウンセラーをやっている人がいるのだが、人の心の扱いがとても丁寧で、医者的な強者の論理をあまり用いない。これは、医者とカウンセラーのどちらが良いという話ではなく、人の心の問題というのは「病気である/なし」という事とは別のところにも問題を抱えているということなのだろう。

だから、心の状態が悪化したとき、それを即、薬物治療のような医療の世界と直結することには違和感がある。薬によって精神が安定したとしても、そこから先、自分の力で乗り越える(もしくは気持ちを切り替えて前進する)ことがなければ、心の問題は解決していかないからだ。だからこそ、医療と心の問題との間で緩衝材となるようなカウンセラーの役割が、今後さらに重要性が増していくのだろうと思う。ただそれを僕が利用するかとなると話は別だが。

Posted by Syun Osawa at 23:06