bemod

2010年10月23日

川本喜八郎 人形と生きる

2010年10月16日/16:00−21:30/杉並公会堂・大ホール

川本喜八郎さんを偲ぶ会ICAF2010 の川本喜八郎氏を偲ぶ会に続いて、アニドウ主催の偲ぶ会に参加。川本作品の上映とトークだけで5時間半w 「どこの音楽フェスでしょうか?」ってくらいの長丁場だったけど、内容が濃密であっという間に時間が過ぎていった。

僕は川本喜八郎氏の作品は数えるほどしか見たことが無い。もともと立体のアニメはほとんど見ないからだ。今回まとめて彼の作品を見たことで、わりと初歩的なところで立体のアニメーションについて考えさせられた。

立体アニメーションと言うとかなり限定されるので表現が難しいのだが、今回上映された作品の中には大きく分けて3つの表現スタイルがあった。1つめは人形を少しずつ動かして1コマ1コマ撮影するスタイル。2つめは人形劇をテレビドラマのように撮影するというスタイル。3つめは人形劇を劇場演じたものを撮影するスタイル。3つめはドキュメンタリー用の映像だったので少しズレるかもしれないが、前の2つは彼の表現スタイルの最も代表的なものだ。

僕はこの人形劇と人形アニメーションの違いについてこれまでほとんど意識したことは無かったのだが、今回いくつかの作品を見て、この表現にはかなり大きな違いがあるように思った(詳しくないので、ここでは深く触れない)。

作品のチョイスの問題とはいえ、人形アニメーションのほうが人形劇よりはるかに静的だし、内容も暗いw 高畑勲監督が「正直、三部作は好きじゃない」と偲ぶ会でぶっちゃけてたが、川本氏の描く情念の世界と人形アニメーションの持つ生気の無さ(人形劇に比べて)があまりに見事に融合していて、本当に気持ち悪かった(いい意味でw)。

立体に関しては、川本氏の作品はおろかアードマンなどの代表的な作品も見てない体たらくなので、こういう脊髄反射的な感想を書く前にもうちょっといろいろ見ないとね…。

あと、ICAF2010の感想 でもチラッと書いたが、インディペンデントなアニメに携わること自体がろくでもないというか、食えないことが前提になっているのは今も昔も変わっていない。にも関わらず、長きにわたって創作意欲を持ち続けながら、何をやってるんだかよくわからない抽象的な人たちがこの業界を支え続けている。僕はこういう制度化されていないオルタナティブな世界はとても好きだ。今回のトークショーの中でもその緩い感じがよく出ていて、とても良かった。

Posted by Syun Osawa at 02:17