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2011年03月02日

DOMANI・明日展 2010

2010年12月11日−2011年1月23日/国立新美術館

DOMANI・明日展 2010ここしばらく美術館へ行っていなかったので、チケットショップに行って安くて面白そうなのを4枚ばかり見繕って買った。その1枚がこの展覧会で、なんとお値段90円! 驚きのお値打ち価格!

この美術展は、国から援助金を貰って海外へ留学した画家や彫刻家らがその成果(?)をお披露目するために開かれているものらしい。プロフィールを見ると、去年、留学から帰ってきた人の作品が今年展示されているというわけでもないようだ。派遣された年は1987年(24年前!)から2008年まで幅広く、派遣先の国もいろいろである。

だから、この展覧会にアートシーンを鋭く斬るような明確なコンセプトなどないのだろう(本当はあるのかもしれないが…)。もともと現代美術が苦手な僕にとって、それは作品を見るための手がかりを失うことでもある。

どんな風に作品を見ていいかわからないままだったので、村上隆『 芸術起業論 』を読んだときに覚えた「アート市場の流行をひとつのコンテクストとして見る楽しみ方」を使って、本展覧会の感想を少しだけ述べておきたい(前置き長っw)。

展覧会に参加している人の中では、近藤聡乃氏だけは知っていた。この人はわりとエンタメ業界で活躍されているので、この手の派遣事業に乗っかっていたことが逆に意外だった。

それ以外の人はまったく知らなかったわけだが、手元にある展示作品のペーパーを見るかぎり、古郷秀一氏は東京現代美術館や東京国立近代美術館、大阪府立現代美術センターに作品が収められているようで、かなり有名な人のようだ。もっとも、派遣されたのは24年前であるから、展覧会のサブタイトルにある「未来を担う美術たち」のその未来としての成功例を示したということなのだろう。

興味深かったのは、町田久美氏で、この人は2008年にデンマークに派遣されている。作品のいくつかは西村画廊や大原美術館にも収められており、それ以外の作品も個人コレクションとなっている。今なら日本の「かわいい」をどう解釈し、どう描くかというコンテクストにギュッと押し込められてしまいそうな雰囲気を漂わせている。そうした中でも、彼女の作品は独特の味わいを持っており、現在の「取り入れて拡張(embrace and extend)」というゼロ年代流の歩みをしっかりと進んでいるように見える。

自分で書きながらあまりに下品な感想だなw とはいえ、市場原理で作品を見ると、やはり今っぽい作品であることはそれなりに重要で、しかもその今っぽさの中にひと工夫あるものが売れているのだなという印象を持った。このあたりは村上氏の言うとおりかもしれない。

Posted by Syun Osawa at 00:50