bemod

2011年04月19日

Glad 1st Anniversary All Sunday Jack!!

2011年2月20日/18:30−21:40/渋谷Glad

Glad 1st Anniversary All Sunday Jack!!昨年の クリスマス・ライブ に続いて、AiraとSaoriの競演。Terukadoプロデュースでありながら、これまであまり接点のなかった二人が最近よく接点を持っている。悪くとれば、いよいよデートピア商法が行き詰って、合同でやらないとイベントが回せなくなったということかもしれない。良くとれば、ある程度キャリアを積んで、キャラクターや方向性が定まってきた二人が競演することで、新しい化学変化を起こそうしたいという意図を汲み取れるかもしれない。

ゼロ年代は、音楽が二次創作、三次創作が、オリジナルと同様に受け入れられることが不自然ではなくなった時代だったと思うし、特にダンスミュージックはそれが顕著だったとも思う。そして、そこにあるコンテクストは、新しい何かを捜し求めるのではなくではなく、今あるものを取り入れて拡張(embrace and extend)することだった。2chなどで「デートピア商法」と呼ばれていたものは、まさにこれを正確に体現していたと思うし、僕を含め彼女らのフォロワーはそれを楽しんでいたと思う。そうした意味で、今回のライブは、デートピアが作り出した音楽の一つの到達点を示していたように思う。

この点についてちょっとだけ深堀りしてみる。

アイドルとクラブミュージックがそれぞれ別の島宇宙だった90年代を経て、それらがすべて混ぜっ返されたのがゼロ年代。個々の音楽を精細に聴き込めばより細分化(さらなる島宇宙化)されているとも言えるし、サクッと俯瞰すればそれらは全部同じボーダレスジャンルの内側にあるとも言えるような状況になっていた。こうした状況では、アイドルとクラブミュージックの間を横断することに快楽を得るようなサブカル的消費は困難となる。そして、AiraやSaoriは、まさにこの困難さの只中で、それでもサブカル的消費をしたい人に向けて音楽を送り続けていたように思う。

Perfumeがブレイクした当時は、エレクトロとアイドルのハイブリッドをサブカル的に消費する市場が充分にあった。しかしその市場もかなり小さくなってきている。この市場縮小の流れがこの先どこかで下げ止まるのか、それとも一過性のブームとして完全に消えてなくなるのかはわからない。普通に考えれば、市場性なしとして、ここで打ち止めにするのが順当だろう。もしくは広い視野を持って、市場開拓のために世界へ出て行くしかない。

こう書いてしまうと身も蓋もなくて悲しいが、それでもあえて僕が希望を見つけるとすれば、上で述べたような差異ゲームを超えたところで楽しんでいる人が、AiraやSaoriのファンには多いように思えることだ。昨年の クリスマス・ライブ で書いた感想を読み返してみると、「今、アイラを応援しているファンの多くは、古参ヲタを除けば単純に盛り上がりたいだけの層なのではないか。」と書いていた。

この盛り上がりをどう考えるかでまたいろいろ考え方が分かれそうな気もしないではないが、エレクトロとアイドルのハイブリッドは、サブカル的なネタ消費の期間を終えて、しっかりとダンスミュージックの一つとして受け入れられ、そこに新しい市場が生まれているという考え方もできるだろう。それがPerfumeであり、その拡張者がデートピアなんだと勝手に捉えれば、まだもうちょっと延命できるところもあるのかもしれない。

個人的にはWIREとかELECTRAGLIDEみたいなイベントを、アイドルだけでキッチリやっていく(そのイベントのトリはレディ・ガガでいい)。そんなコンテクストが築かれていくことを望むのだが、これはサブカル的ヲタの自意識だけではどうにもならない規模である。

うーん…もはや何の感想なのかもよくわからんな、これw

Posted by Syun Osawa at 23:06