bemod

2011年05月22日

シーズ・オール・ザット

監督:ロバート・イスコーブ/1999年/アメリカ

シーズ・オール・ザット主人公は『 プッシーキャッツ 』の子だった。これは完全に偶然。昔から、同じジャンルだったり、その映画の中で気に入った俳優さんが出演している他作品を数珠繋ぎで見るのが好きだったので、こういう偶然はとても嬉しい。これでレイチェル・リー・クックの名前は忘れないと思う。

昔だったら、トム・クルーズ主演の『ザ・エージェント』に出演していたレニー・ゼルウィガーに一目ぼれし、『エンパイアレコード』やB級スプラッタ映画の『悪魔のいけにえ』などを続けて見たことがあった。彼女はその後、『ブリジット・ジョーンズの日記』で遅咲きのブレイクを果たし、妙な感動を覚えたものだ。

それはさておき、中身の話。

開始12分でストーリーの全体像がすっかり説明される。冴えない女の子が女子力を鍛えて、美女へと変貌を遂げ、プロムで主役になるというお決まりのストーリーだ。これだけだとあまりに平凡なので、そのストーリーを駆動させる装置として、イケメンの男子が賭けの対象として冴えない女の子にアプローチし、美女になるようプロデュースするという展開が用意されており、そこは少し毛色が違っていた。

ただ、この映画で冴えないとされている女の子は、オタクっぽく眼鏡をかけていて、天然ボケで絵が得意という、日本のヲタク的観点で見れば、しっかり萌え属性を持っている。そんな彼女がプロデュースされることによって、平凡でリア充な女性になっていく過程というのは、ヲタ視点から見れば少しつまらない。

序盤でビーチに行くシーンがあり、そこで彼女が実は巨乳であることが明かされる。こうした隠れ属性も高レベルの萌えポイントである。こういう属性をすべて捨て去り、彼女がプロムで主役になっていくことが、アメリカの若者にとってハッピーエンドなのだとすれば、それを逆張りのコンテクストで消費する日本のヲタクというのは、アメリカ文化のカウンターとしてしっかりとした足場を築いているということだ。そのことを実感したストーリー展開だった。

ただ唯一アメリカ文化のほうが凄いと思うのは、プロム(卒業記念ダンスパーティー)の存在だ。これに該当するものが日本にはない。モテも非モテも混在するあの祝祭はとても興味深い。おそらくこれからプロムに関するB級コメディをたくさん見ることになると思うので、そのあたりのことを考えつつ見ていこうと思う。

Posted by Syun Osawa at 22:03