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2012年01月19日

アンヴィル!夢を諦めきれない男たち

監督:サーシャ・ガヴァシ/2009年/アメリカ

カナダのヘヴィメタル・バンド、アンヴィルの日常を追ったドキュメンタリー映画。このバンドは過去にそれなりに売れた経験があり、今も少ないながらも世界中にファンがいる。しかし、バンドのメンバーは音楽活動だけでは食べていけないため、肉体労働をしながらツアーに回っている。

この映画を見たきっかけは橘玲『 残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 』だった。この本の中では、夢を諦められないことの困難さとして『アンヴィル』が取り上げられており、幸福論について彼らとは別の生き方提示している。

その指摘はまったくその通りで、紋切り型の自己啓発本のように「夢を諦めるな!」とか「夢は努力すればかならず叶う!」といったモチベーションを上げるだけのいい加減なことは言っていない。才能の壁というものがあるのだから、自分のできる範囲で幸せを見つけなさいというとてもまっとうなことを書いていて、その視点で見るとこの映画の中のバンドの困難さというのは相当なものだと思った。

ただね、『 残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 』の感想で書いたことでもあるんだけど、僕は彼らのような生き方にもの凄く共鳴しちゃうんだな。そこに何かロジックがあるわけではなく、ただただ感動してしまう。映画の最後に日本でのライブの様子が映っていて、日本のファンがこれまた温かい。こちらにもグッときてしまう。

たしかに不都合な生き方ではあるんだけど、人間の人生って大なり小なりみんなこんな感じじゃないのかなぁ…なんて思ってしまうからたぶん僕はダメなんだろうなw ともかく、中年から初老へと向かうおっさんにはいろいろ考えさせられる映画だった。

Posted by Syun Osawa at 01:23