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2012年01月29日

サンデルの政治哲学 ―〈正義〉とは何か

小林正弥/2010年/平凡社/新書

マイケル・サンデル『 これからの「正義」の話をしよう 』を読んで、彼の主張するコミュニタリアニズムに興味を持ち、初めの一歩として手にとったのがこの本である。著者の小林氏は少し前にニコニコ生放送でひろゆき氏と対談していて、そのとき、ひろゆき氏のシュートな発言に上手く受け答えしていたのが印象に残っていた。

サンデルはコミュニタリアンで、リベラリストのジョン・ロールズへの批判などを通して自身の主張を築いていった。本書では、サンデルの主張(思想)の変遷を、サンデルの著作をひきながらわかりやすくまとめていた。

僕は今、コミュニティとか中間共同体について関心をもっているので、サンデルの思想に共感できる部分が多い。伝統的な村落共同体が崩れつつある今、個人―家族と国との間をつなぐ中間共同体の復興は急務だと考えている。なぜなら、単身者の増加、デフレの長期化、年金問題、貧困層の増大など、国の社会福祉政策だけでは到底支えきれない問題が山積しているからだ。

これらの問題は僕にとっても重大である。30歳過ぎの独身男性が都会で生きていく上で、家族以外のコミュニティによってセーフティーネットを構築することは、生存の不安を取り除くためにも不可欠だからだ。ただ、こうした自体をマイナスな問題として捉えているわけではない。むしろ逆で「新たな共同体はいかにして可能か?」というプラスの問題に転換して、積極的に考えていきたいと思っている。

Posted by Syun Osawa at 09:13