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2012年06月03日

おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ

正垣泰彦/2011年/日経BP社/四六

おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ久しぶりに本の感想文を書くなぁと思ったら、1月29日の小林正弥『 サンデルの政治哲学 ―〈正義〉とは何か 』以来だった。もっとも、感想文を書くタイミングが半年ほど遅れているので、今回の本を読んだのも実際には昨年の12月だったりするのだがw

本書は貧乏リーマンや貧乏学生ご用達のファミリーレストラン、サイゼリアの創業者が書いた本。あまり期待せずに読み始めたらこれがなかなか面白く、昨今チビチビ読んでるビジネス関連の本の中では一番刺激を受けたかもしれない。

まずサイゼリアの創業当時の話が面白い。東京理科大の学生だった正垣氏がサイゼリアをオープンさせたのは八百屋の二階だったそうな。しかし、当時は全然客が来ず、このままでは店が潰れると考えた正垣氏は、少しずつ値段を下げていき最後は7割引にした。すると客が一気に増えたというのである。

つまり、客が入る価格に合わせて、コストを調整していく。一見無茶苦茶な方法に見えるかもしれないが、僕には素晴らしい方法に感じられた。

というのも、僕の会社にはスティーブ・ジョブズはいないからである。もちろん僕にもそんな才能はない。才能のない人にイノベーションを起こすことは難しい。やれることといえば、品質の向上とコスト削減くらいである。サイゼリアはこの二つを既存の慣習を飛び越えて徹底的にやっているのだ。これなら僕にもできるかもしれない。そう思わせるような本だった。

友達いわく「サイゼリアのコーヒーは泥水」だそうで、僕もそれは否定しない。それでも、その泥水をコーヒーとして売ったところがサイゼリアの凄いところで、価格さえおさえられていれば、客はそれをコーヒーだと思って飲むのである。

Posted by Syun Osawa at 23:50