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2014年04月14日

封印されたアダルトビデオ

井川楊枝/2012年/彩図社/四六

封印されたアダルトビデオバッキー事件とジュニアアイドルの話が載っているということで読んでみることに。バッキー事件は2chにスレが立ち始めたころにリアルタイムで追っていたので内容的にそれほど新しいものはなかったが、この著者自身が当事者として関わっているため、wikipediaとは違う事件への私見があり興味深かった。

ジュニアアイドルの話はAVの話よりもジュニアアイドルの片親率の高さとか、撮影会で支払われるギャラの値段とか、そのあたりの内幕が書かれていたことが面白かった。ジュニアアイドルやそれを取り巻く市場についてのルポは香月真理子さんの『 欲望のゆくえ 』くらいしか知らないので、資料的な意味でも貴重な内容だと思う。

封印されるくらいのアダルトビデオなので内容的にはろくでもないものが多かったが、障害者を扱ったAVは社会の暗部を痛切に突いており、深く考えさせられた。僕らが普段タブーだと思って蓋をしているところをあえて突破することで見えてくる現実というのはあって、そういう壁を突破できるオルタナティブというのは必要なのだと思う(良くも悪くも)。

お互いが空気を読みあい、インターネットを参照しながら考えることでどんどん平準化されていく社会は閉塞感を加速させるだけだ。しかし、そうした行為が効率的である以上それをやめることは難しい。そういうときにあえて提示されるオルタナティブは格好の叩きの対象になりがちだが、そうした未知の自体に直面して初めて考えさせられることも少なくない。だからこそ互いの自主規制によってがんじがらめになる大手メディアとその鬱憤が吹きだす2chのようなサイトの間にはオルタナティブとしての何かが必要なのだと思う。そして、そのヒントとなるものがこの本の中には書かれていたように思う。

Posted by Syun Osawa at 22:18