bemod

2014年04月14日

10人兄弟貧乏アイドル☆ 私、イケナイ少女だったんでしょうか?

上原美優/2009年/ポプラ社/四六

10人兄弟貧乏アイドル☆ 私、イケナイ少女だったんでしょうか2011年5月22日に亡くなられた上原美優さんの半自伝本。自分がアイドルの現場によく行くようになり、そこで見るアイドルたちをより多面的に見てみたいという思いからアイドルに関連する本を読むようになった。…と言っても、よくあるアイドル名鑑のような本ではなく、香月真理子さんの『 欲望のゆくえ 』のようなアイドルの実像を社会的テーマとして追った本だ。他にもアダルトビデオに出演する女優を扱った本もちょこちょこ読んでいる。

この本もそういう経緯から読んだ。上原さんが亡くなられたとき、2chなどで彼女の所属していたプラチナムや関東連合との関わりについていろいろ書かれていて、そのワイドショー的な扱われ方が酷く薄っぺらいものに思えた。この本によると、彼女は一度プラチナムを辞めており、その原因は彼女自身の問題行動によるものだ。枕営業うんぬんの話題もこの手のアイドル話には尽きないが、彼女にとってもっと大きな問題は家族であり恋人であったようだ。

これは普通に考えれば当たり前の事だ。とあるアダルト系のライターが「アダルトビデオの業界に入る子はこの業界に入って問題を抱えたのではなく、この業界に入る前からすでに問題を抱えている」と書いていたが、これはアイドル業界にも言えることだと思う。

この本では家族のことや恋人のこと、学生時代に遭ったレイプのことなど、芸能界よりももっと内側のことが赤裸々に書かれている。そこには情緒的で激しい感情を持った彼女の姿が見え隠れして、そんな彼女が最後に自殺という選択をしたことが胸をしめつけた。

本の中ほどに年老いた両親と美優さんの3人が笑顔で写った写真が掲載されている。そこに至るまでに様々な紆余曲折があり、ようやくたどり着いた笑顔だけに、その後の母親の急死と母の後を追うようにして亡くなった美優さんの顛末はやりきれない気持ちでいっぱいだ。

Posted by Syun Osawa at 22:39