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2014年11月05日

コンテンポラリーアニメーション入門 第10回

2012年8月18日/15:00−19:00/東京藝術大学 馬車道校

第10回講座は『ピンスクリーンの伝承』と題して、ミシェル・レミュー氏を迎えての特別講義だった。毎度の事ながら無料とは思えない豪華さで、ただただ東京藝大と山村浩二氏に感謝。残念なことに FREEDOMMUNE 0<ZERO> A NEW ZERO 2012 でメガネをなくして、その後まだ新しいメガネを受け取っていなかったため、映像をじっくり堪能できなかったのが悔やまれる。

ミシェル・レミュー氏は絵本作家として長く活躍されている方で、2003年に公開された『ストーミー・ナイト』が初めてのアニメーション作品とのこと。自分の絵本を自分でアニメにするという手腕に驚かされる。日本だと個人製作系のアニメ作家が自分の作品を絵本にすることがあるが、あれはいわゆるメディアミックスの手法だ。この手法に倣うなら彼女の作品はアニメの制作会社がアニメ化していても不思議ではないのだが、自分の力でアニメ化してしまうところに彼女の凄さがあるのだろう。まさにクリエイターである。

しかも第2作目となる『此処と大いなる何処か』は画風を一気に変えて、ピンスクリーンによる作品だった。ピンスクリーンというのは針で埋め尽くされた平板で、針の高さを微妙に調整することで陰影をつくって絵を描いて動かす手法だ。CG全盛の時代に気の遠くなるような手法をあえて選べるところも凄いし、元々優れたイラストレーターであるにもかかわらずサクッと技法を変えられるところも凄い。

彼女の作ったアニメーション作品以前にその作品を作る前にある壁の高さにたじろぐことなく、グングンとその壁を駆け上がって作品を作っていくその姿勢に作家としての魂を見た気がした。

Posted by Syun Osawa at 21:13