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2004年12月01日

世紀の大怪獣!! オカダ −岡田斗司夫のお蔵出し

岡田斗司夫/イースト・プレス

世紀の大怪獣! オカダこの本はかなり貴重な本。今回は図書館で借りたので機会があれば古本屋などで資料として買い直したいと思う。単純に大塚英志と比べるのはナンセンスかもしれないけど、アカデミックな評論のセンスは圧倒的に大塚。でも岡田斗司夫はホームランを打つんだな。ブンブン振り回してスカみたいな文章を書きまくるくせにたまにドでかいのを打つ。

例えばオタキングの章だったら、オウムのアニメ製作責任者へのインタビュー。FLASHでアニメを作っている人ならば胸が熱くなること請け合いだ。あんなに世間が嫌ってるオウム信者に対してうなずける部分がいっぱいあるだもの。素人が試行錯誤しながらアニメを作ってる。『ナウシカ』をコマ送りにして研究したりして、涙ぐましい努力がオウムの作ったアニメにも岡田の作ったアニメにもある。前半分はこのインタビュー以外に特筆するものはないけれど、とにかくこれはホームラン。

素晴らしいのはやっぱりゼネプロからガイナックスに至る経緯が描かれた後半の章だろう。このあたりの歴史は『のーてんき通信』にもかなり詳しく書かれているし、『おたくのビデオ』というアニメもある。凄いね。何の権威にもすがらないでのし上がるってのは本当にカッコいい。僕の好きな作品が後にも先にも『トップをねらえ』なわけで、その作品が見事なくらいのアニパロで、スタッフがかなり意識的にパロディに徹したことに感動すら覚える。

収録された当時のインタビューはいろいろ尾ひれがついているんだろうけど、このあたりの歴史を見ていると、なぜ大塚英志が「オタク」を「おたく」として語るのかがわかる気がする。SF大会やコミケ、ワンフェスといった、社会的な意味での地下活動、抵抗運動は本来「オタク」の中に内在しているからだ。評論家、作家としては大塚の方がアカデミックに語り得ても、岡田斗司夫はホームランを打った。ブンブン振り回して打った。でも狙って打ったんだな。『王立宇宙軍』のインタビューで語っていることって、めちゃめちゃ的を得ていて、今の時代に置き換えて読んでもかなりドキッとさせられる。

Posted by Syun Osawa at 01:29