bemod

2005年02月12日

へヴィメタル

監督:ジェラルド・パッタートン/1981年/アニメ

へヴィメタル清々しいB級アニメ映画。作画の基準を日本のスタジオとかディズニーに置いて比べればそれは酷いもんですけどね、でもその辺の技術論は素人の僕が言ったってつまらない。画面から溢れ出るパワーは、そんな重箱の隅をすべて取り払ってしまうほどの勢いがあった。そして何より素晴らしいのは先の展開がまったく読めないところ。久々にドキドキワクワクしながら全編を見通した。

この映画の骨格は、「ロック・ナー」という時間・空間・次元を支配する悪の化身(つっても緑の玉なんですが…)が引き起こす悲劇をオムニバス形式で描くといったもの。全部悲劇なんだけど、登場人物が欲望むき出しで同情も誘わないし、やってることが馬鹿っぽくて笑ってしまう。例えばこんな話。地味な科学オタクの青年が異世界に飛ばされる。そして着いた場所で彼はマッチョな肉体を与えられる。そこで英雄として活躍するんだけど、頭の中はモテない科学オタクのまんまだから、美人とSEXできて最高! みたいなところで興奮してしまって、結局、地球に帰るチャンスがありながら異世界に残ってしまう。

そんな話がオムニバス形式で続き、最後の話でいよいよ「ロック・ナー」と対決する守護神ターナーが登場する。その登場シーンは風変わりで、優雅に王宮風の風呂から全裸で出てきてセクシーにTバックのパンツをゆっくり履いたりといったことを長々とやる。しかもその前のシーンでは民衆が皆殺しにされたにも関わらず、気に留める様子もないのだ(その時点で守護神としての仕事をしてない気もするが)。こういう感性は素晴らしいなぁ。

そんなB級大作のパッケージには「大友克洋に影響を与えた」らしき文章が書かれていた。もしそれが本当なら『AKIRA』というよりは『 幻魔対戦 』にちょいと影を落としているんじゃないかな? はっきりしていることは、この映画に登場する女性はみんなおっぱいさらけ出すし、SEXシーンもあるし、下の毛もしっかり描かれているけれど、決して萌えはしないということ。間違っても東浩紀『 動物化するポストモダン 』の範疇には入らんだろうなぁ。ちなみに映画自体はカナダ映画だったりする。わお!

Posted by Syun Osawa at 10:17