bemod

2005年02月23日

ハイデガー

編著:木田元/作品社/書籍

ハイデガー宮崎駿はあるインタビューで「面白くない映画だったらすぐ帰る」と言っていた。決断は早い方が良い。僕はこの本を読み始めたとき、そのことに気づき本を閉じるべきだった。そもそもハイデガーの著作を読んだこともないのにトリビュート本を読もうというのが間違っている。でも小市民の悲しさか以次の点に引かれ最後まで読んでしまった。

1)最も有名な著作が本人にとって失敗作
2)ナチスへ入党
3)現在の哲学に影響を与えている

著書が未完でありながら人を引きつけることについて、本書ではその力を「魔力」と書いている。僕はその言葉はまさにピッタリという気がする。ナチスに入党してる時点で全否定されるくらいマイナスなのに、それでもフランスの現代思想家たちに影響を与えまくるんだから凄いね。

あと、これだけ有名な思想家でも職を得るために営業的な人間関係の操作をやってるのもなんだか不思議。更科修一郎がブログで大塚英志の腰ぎんちゃくになってることについて 言いわけ を書いていたけど、なんかちょっと共通する部分を感じるなぁ。田中吉六 みたいに一人で物思いにふけってもしょうがないとは言わないまでも、まずは発表の場を確保するという事が重要なのかな。

幸か不幸か、ハイデガーの言葉について丁寧な解説もついていたので、わからないなりに楽しめた。とくに唯一の女性、北川東子さんのエッセイが一番わかりやすく、面白かった。最後の言葉がいい。

ことばの稚拙な初心者は、『存在と時間』を読み始めることで、ようやく存在することの初心者になったのである。

ことばの稚拙な彼女は東大教授。…すいません。梶原一騎は『 懺悔録 』の中で、金儲けをするなら哲学をやっちゃダメだと言っている。重要なのはいかに直感し、決断するか。頭の悪いヤツは直感と腕で勝負しなければとつくづく感じた。考える前に描く。描きまくる。それにしてもハイデガー関連の本って、今もなお出まくってるのね。

Posted by Syun Osawa at 23:25