bemod

2005年03月12日

おたく:人格=空間=都市

グローバルメディア2005/東京都写真美術館

おたく展本当は森川嘉一郎の講演を聞くのがメインだったんだけど仕事で参加できず、日をあらため「おたく展」の方だけ観に行った。いろいろな方がブログで書いていた通りの大盛況でちょっとビックリ。2年前の グローバルメディア 2003 の閑散ぶりから考えてもこれは異常な事態でしょ。おたく恐るべし。

で、内容はというと、これがいたって普通の展示会。コミッショナーの森川嘉一郎氏は、おたくのプライベートな空間と都市空間の関わりを秋葉原やコミケのイメージを通して提示したかったようだ。そうは言っても、観客はウィンドウの中の「リカヴィネ」などのフィギュアやポスターそのものに興味があるように映ったし、その点では『 ワラッテイイトモ、 』と何ら変わらないような気がする。展示物のメインに据えられていた「レンタルショウケース」そのものは秋葉原駅を降りて100メートルも歩かないうちに見ることができるわけだし、ただそれを違う場所で普段そういうものを観ない人が見て驚いたってだけの話のような気が…。

とはいえ「おたく展」というだけあって、おたくのイメージそのものに興味がある人が来ていたのも事実。ヨコタ村上孝之(大阪大学助教授)も「オタクはアイデンティティーではなく他者からのイメージ」であると言ってるし。では一体、オタクのイメージに興味を持つ他者ってどんな人たちなんだろだろ?

強引にテクノミュージックで考えてみる。

日本には「テクノが好き」というよりはむしろ「石野卓球が好き」という軍団が結構な人数を占めている。そして「石野卓球が好き」なんだけど、実は音楽そのものはほとんど聴いてなくて、「電気グルーヴにまつわるピコピコしたイメージに何となく興味がある」というのが外側にある。この外野な軍団は結局のところ、石野でも小山田でも良いし、もっというならフリッパーズギターでもいいわけだ。こういう層が「おたく展」を支えているんだろうか。うーむ。

このイベントを通しての唯一の発見は、メインキャラクター「新横浜ありな」のフィギュアを見て不覚にも「可愛い」と思ってしまった事。フィギュア付カタログが猛烈に欲しくなって売店に走ったら、余裕で売り切れていた(当たり前)。僕的にはあのフィギュアを作った大嶋優木の個人展の方がよっぽどハマったかも。多分そのときには「テクノが好き」の中でもより細分化されたジャンルの人しか来ないと思うけど。

新横浜ありな

帰りに本屋で森川嘉一郎の『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』を立ち読み。「アマチュア・スターの出現」というところで個人製作のアニメに触れていた。彼は個人がアニメを作ること自体が凄いのではなく、そうした個人製作のアニメに多くの批評やメディアミックス的手法が用いられる事が新しいと書いていた。さらに作家達はプロ(会社員)からアマ(個人作家)としての道を選んでいると。また、メジャーを先に見据える音楽業界のインディーズとは決定的に違うというようなことも書いていたな。うーん。僕はここで書かれていた内容は、音楽業界とアニメ業界でまったく逆だと思うけどな。このへんは僕もちょっと考えてみよう。

Posted by Syun Osawa at 23:46