bemod

2005年07月19日

イントゥ・アニメーション4 その2

前回のつづき

【Dプログラム】

私説鳥類考

by 深瀬沙哉/上映時間:3分30秒

鳥を人間に見立て刹那的な日常を描いたアニメーション。手描きの荒っぽさと背景の工場やロボットの緻密な描き込みが目を引く。鳥の図鑑がそのまま人間を表現しているとのことだけど、ロボットが執拗に描かれていて、鳥の印象は意外に薄い。

GREY TOWN

by 辻田幸廣/上映時間:3分

手描きモノクロ。陰影の強い画面が印象的。色のない街の住人が色のある服を盗むといった展開が、小学校の時に読んだミヒャエル・エンデの本を連想させて心地良かった。カナダアニメフェスとかで上映されている短編アニメのような作品。

Mr.Smith

by 辻田幸廣/上映時間:4分

サラリーマンのせわしない日常がテンポよく描かれている。あまり画の細部にこだわらず、テンポとメッセージだけで見せていく感じがシュールでわりと新鮮に映った。ミニマル好きにはたまらない内容かも。そしてこちらもわりと外国風。ちなみに外国風という印象は、決して褒め言葉ではない(むしろ逆)。

nico & hana

by 城井文/上映時間:1分

Risingグループというパチンコ会社のCMらしい。色鉛筆で描いたようなタッチの暖かみの感じられるアニメ。15秒×4本という内容だったので、頭に残っているのはRisingグループだけ。だからCMなんだな、きっと。

チックンタック ストローマン

by 鈴木 伸一/上映時間:5分

NHK『プチプチアニメ』より。大御所・鈴木伸一さんの作品。これぞNHKというシンプルなクレイ(3Dか?)アニメ。歩んできた歴史がそのままアニメの奥深さへと繋がってゆく。なんつったって『まんが道』に出てくる人だからなぁ。当時、トキワ荘のどこに住んでいたか、ここの下の方 で見れます。

Daddy Comes Home

by 福島治/上映時間:2分

FLASHで作ったんだろうか? 大ベテランだからそんな事はありえないけど「FLASHでいけるなこれは」と思って見た。身も蓋もない言い方をすればギャートルズ。骨付肉のディティールなどから垣間見える安心感というか、気持ちというのはあなどれない。

岩槻育子 小作品集

by 岩槻育子/上映時間:6分30秒

クレイアニメ。ベネッセの幼児用教材についているアニメらしい。幼児用の作品なのでおっさんが見ると違う意味で面白い。だってみんな馬鹿なんだもの。でもこれは作品が悪いわけではなく、おっさんの僕が幼児用アニメを見ていることが悪いのだ。

なるほどくんの思い出アルバム

by 石田卓也/上映時間:1分20秒

こちらも岩槻さんの作品同様にクレイアニメ。場面展開が大胆で、背景も含め画面がグングン変化する。作者が舞台で実物を紹介されていたが、これが驚くほど小さい。小さいほど作業が楽らしい。そういやニャッキも小さかった。

GAKI琵琶法師

by 横須賀令子/上映時間:5分50秒

水彩手描きアニメ。ビビッた。餓鬼の琵琶法師がエレキの琵琶で音楽を奏でる。音楽も最高、変化に変化を重ねる不思議な水墨画の世界にただただ圧倒された。空間の立ち上がり方とか、音楽とのシンクロの仕方とかが完全にトランシーな世界を作っていて Danny Gomez も真っ青って感じ。こういう若干イってるくらいの作品が好きだなぁ。

霧湖伝説―第2稿

by 島村達雄/上映時間:7分20秒

この作品もかなりキてる。摩周湖(と勝手に決める)の霧の精霊・キリコが夜深くに冷気を吐きまくる。その顔の滑らかで不気味な動きたるや…。グロテスクな河童との対決とか、動物達がアンビエントな音楽に踊る感じとか、たぶんそっち系の音楽が好きな人が見たら感涙ものだと思う。しかも、後半に向けてその展開は爆発的に壊れてゆく。手描きも3Dもみんなごちゃ混ぜにして、アゲまくりですよ。作者はアニメーションを作り続けて48年の大ベテラン島村達雄さん。舞台で「どうやって作っているのかわからない作品を作りたい」ともおっしゃっていて、しかもまだ未完。いろんな意味で今回のイベントで最も刺激を受けた。

Goldfish

by 高柳陽/上映時間:3分

実写とアニメの融合。金魚の入った瓶を振ったら金魚が増える。でも金魚の入った瓶は振ってはいけない。


つづく

Posted by Syun Osawa at 01:10