bemod

2005年09月07日

JAWACON 2005 その2

前回のつづき

バブルス

by 512kb

猿蟹合戦だと思った人は多いだろう。オマージュだと考えればその通りかもしれない。この手法に対する彼の力は絶大で、パロディやコラージュの切り口は鋭い。さらに空間の作り方や、画面に対するキャラクターの配置、物語の運びなども上手く、持って生れたセンスを感じさせる。

とはいえ今回のキャラクターは完全にオリジナル。立体感のある3Dの上に手書き感溢れるチープな2Dが重なる。こういう作品を3Dアニメの世界では「ローファイ」と呼ぶのだろうか。ぜひ呼んでほしい。

海からの死者 前編

by のすふぇらとぅ

のんちゃんシリーズの作品を上映会という形で、ウェブに先行して見れるというのは、ファンとしてはちょっと嬉しい。毎度のことだが、のすさんの作品の描き込みは凄まじい。爆破エフェクトは言うに及ばず、のんちゃんが走っていくシーン一つ取り上げてみても作者の思いが滲み出ていて感無量になる。

のすさんはアニメーション原理主義者である。動かすことでキャラクターに命を与えていくという、アニメーションの本質に誠実に迫っている。だから僕はのすさんの作品を見るたびに「アニメーションとは何か?」という問いを突きつけられ、自分の弱さを痛感させられるのだ。

Lido 砂の花

by ポエ山

2002年のDoGAコンテストで『quino』を見て、僕はアニメーションを作るソフトとして「FLASH」を選択した。そんな彼の数年ぶりの新作。残念ながら予告編であったが、冒頭の廃墟と化したビル群の立体的な動きから、薄ぼんやりと映るロボット、そしてタイトルへと流れる展開に息をのんだ。

「記憶を失った少年」と「孤独な少女」が滅び行く世界で出会うという、セカイ系の設定をど真ん中から踏襲したまま、メタセカイ系に至ってしまいそうな力強い内容。それは『 JAWACON公式ガイドブック 』のマンガにも連なる独特の世界観からビシビシ感じる。やさしい絵のタッチも素晴らしい。完成が待たれる。

つづく

Posted by Syun Osawa at 00:10