bemod

2005年09月01日

JAWACON 2005 その1

2005年8月27日/大阪産業創造館/move on web.実行委員会

JAWACON 2005「ウェブアニメ」という仮称の言葉を旗印にして、商業アニメとも美大&NHKアニメとも違う捉え方で行なわれた同人アニメのイベント。それがJAWACONだったと思う。コミケでさえ「同人アニメ」は肩身の狭い思いをしている中、いよいよ一つの大きな枠組みでもって語られるときが来たんじゃないでしょうか。よーするに、同人アニメの楽しみ方が、作る側も見る側もわかってきたっていう話です。

僕のブログに関して言うと、少し前に開催された DoGAコンテスト にしても、イントゥアニメーション にしても、結局、個々の作品の感想を書いただけで終わってしまっているのですが、今回ばかりはその意義についてちょっと考えてみたいと思います。つまり「ウェブアニメとは何か?」という事について。それについては一番最後に書く(たぶん)として、盛況だった4F上映会の感想などを上映順に。

猫と青年

by ひらら

線路のすぐ近くに住む若きバイオリン弾きと青年の物語。台詞はなし。効果音&クラシック音楽(曲名不明)と動きだけで物語を動かしている。作者のひららさんに聞いたところ、効果音も音楽もすべて効果音CDを使用しているらしい。

序盤のメトロノームの単純な音に合わせて猫が動くシーンや、クラシック音楽に合わせて激しく展開するオーケストラのシーンはアニメーションの王道を真摯に貫いていて、正直うなった。しかも、そうしたアニメーションの面白さを軸にしつつも、しっかりと物語を作ろうとしている。主人公の心を丁寧に描こうとしている姿勢にも感銘を受けた。

気になった点を一つ。青年が弾くバイオリンの手の動きは音楽に合っている(この時点で難しい)のだが、バイオリンを弾くということに対してそれほど焦点が当たってないような気がした。高畑勲監督の『 セロ弾きのゴーシュ 』あたりがいいライバルになるのかもしれない。「躍動感」は次回への課題だろう。

無人間

by 大沢駿

「意味不明」というまっとうな意見を頂戴しております。その通りです、はい。雑に説明しますと「作者自身(覆面野郎)がもう一人のネガティブな自分(おたく)を見ている」という感じでしょうか。誰かに規定された自分の断片。それが「おたく」なのだろうか? …てな具合に壮大に妄想を膨らませたんですが自己完結できず、実力の無さを露呈する格好になってしまいました。

書けば書くほど自虐的になるので、一つだけ間抜けな話を。最初は台詞入りを予定しており、素人が集まり音入れも少ししたんですが、あまりに棒読みのため断念。急きょミュージッククリップにしました。ちなみにミュージッククリップにエンディング曲を重ねる奴は馬鹿だと思います。僕です、すいません。あまりにもショボい作品なので、今のところお蔵入りになる予定です。

味よし

by 蛙男商会

蛙男商会さんの作品に「おもろいわぁ」以外のコメントは不要だと思う。ネタは尽きないし、今回にしても反戦から味よしに行って、最後に反戦でオチをつける展開は素晴らしい。竹熊健太郎さんは『 JAWACON公式ガイドブック 』の中で蛙男商会さんの作品について「吉田戦車風」と語っているが、その相対化すら凌駕するほど自分のギャグ世界を完成させている。

今回の上映会に参加された方の作品を見ると、FLASHの機能を大きく逸脱したようなアニメ作品が目に付く。そんな中で、蛙男商会さんのようなライトでスピード感がある作品こそ、実はFLASHというソフトが最も生きるのだと、改めて実感した。さらに『サウスパーク』を例に挙げるまでもなく、宮崎吐夢さんの『今夜で店じまい』のように脚本の面白さに合わせて絵を当て込んでいくという形のギャグ作品は、今後も「伸び」が期待される領域だと思う。それはそもそも2ちゃん系作品群の本流とも言えなくないが、まぁ…それはそれで。

つづく

Posted by Syun Osawa at 00:49