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2006年05月25日

ロシア・アヴァンギャルドから見た日本美術

上野理恵/2006年/東洋書店/A5

ロシア・アヴァンギャルドから見た日本美術「ネオプリミティヴィズム」押しの本(違うか)。

1900年代初頭、ロシア・アヴァンギャルドなるものが、どの程度のパンチ力をもって日本に影響を与えたのかはわからないままだった。あと『 ロシア・アヴァンギャルドと20世紀の美的革命 』の感想で少し書いたけど、ジャンル名が当たり前のようにガンガン出てきて、それこそパズルみたいに繋ぎ合わせて解説されているパターンの本だったので、ちょっと苦手な感じではあった(不勉強が原因)。

とくに、プロレタリア美術への方向性を射程におさめた上で、ロシア・アヴァンギャルドの説明がなされている気がして、そのあたりが東洋書店らしいといえば東洋書店らしいのかも。

『のらくろ』をはじめとする中村書店の本の装丁なんかはかなりアヴァンギャルドっぽいし、絵本なんかにもその影は落ちていたみたい。それに対して、プロレタリア美術に代表されるリアリズム系列の美術運動は、ロシア・アヴァンギャルドとは対極に見えてしまうわけで、そのあたりが自分の頭の中で上手に繋がっていないんだな。日本ではロシア・アヴァンギャルドとプロレタリア芸術がごっちゃになってるのか、僕の頭だけがごっちゃになってるのか(たぶんこっち)。

ロシア・アヴァンギャルドについてこう書いてある。

ロシア・アヴァンギャルドは、ネオプリミティヴィズムから出発しました。ロシアで一九一〇年から一三年にかけて、N・ゴンチャローワとM・ラリオーノフを中心にひとつの潮流を形成したプリミティヴィズム(原始主義)は、ヨーロッパのモダニズム全般に見られる従来のプリミティヴィズムとは区別して、ネオプリミティヴィズムといわれています。ネオプリミティヴィズムは、プリミティヴ美術の再発見が西欧のモダニズムを発展させたことに注目し、西洋ではなく東洋(=プリミティヴなもの)に芸術の資源があると考え、西欧のモダニズムを介さずに、自国のプリミティブ美術(=イコン、ルボーク[ロシアの民衆版画]、看板絵、木彫、刺繍)を源泉に新しい表現を見出そうとしました。

うーん。難しい。

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Posted by Syun Osawa at 00:53