bemod

2006年09月15日

漫画家

永井豪/1992年/実業之日本社/四六変型

漫画家永井豪さんの漫画ってあまり読んだ記憶がない。名前はよく知っているし、40代くらいの人には信者が相当数いることも知っている。ただ、彼の代表作である『マジンガーZ』や『デビルマン』は再放送で愉しんでいたものの、僕が中学生の頃はOVAでちょっとエロめの『手天童子』とかを出していて、そういう印象が強かった。

永井さんがデビューしたのはトキワグループ以後で本宮ひろしさんの1年前の頃だったらしい。この時代にはトキワ荘に代表される漫画家たちの共同幻想みたいなものはなかったとのこと(それでも僕の中では永井さんも十分に歴史の中の人なのだが)。そして、どちらかというと今の漫画家さんの走りという印象も受ける。感情的なところでは例えば…

「小さいころは早熟ではありませんでしたか」と言われたことがありますが、自分では普通だと思っています。ただ、漫画の中の女の子は好きでした。

と、2次元に対する愛情があったり、漫画はあくまで子供たちの息抜きの場であると書いているところなど。また彼は「ダイナミックプロ」というプロダクションを早々に立ち上げており、あらゆる面で新しい時代の漫画家を予見させる人であったようだ。

この本の後半部分に「漫画家入門教室」という章がある。そこには…

マンガを描きたいという気持ちだけが漫画家になるための条件です

と書かれてあり、岡田斗司夫さんの『 プチクリ 』(幻冬舎)を連想させる。マンガを描くことに対する愛情が本の端々から溢れていて、権威的なところとか嫌味なところがまったくないのも好感触。今さらながら『デビルマン』から読んでみるかな。

ちなみに、永井さんのデビューはテレビ放映のアニメのマンガ化だったそうな。この手のスタイル(いわゆるメディアミックス的な手法)が別に新しいものではなかったことを改めて確認した。この点については手塚治虫さんが『 ぼくはマンガ家 』もメディアミックス的手法(漫画家の使い捨て)について批判的なコメントを寄せている。

Posted by Syun Osawa at 00:35