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2007年02月02日

常設展&企画展「武良茂(水木しげる)の人生」

しょうけい館(戦傷病者史料館)

しょうけい館平和記念展示資料館 に置いてあったパンフレットで、この施設の存在を知る。戦地で負傷した人の苦しみやその後の後遺症などについての資料館らしい。行ってみると、施設は小さいが内装が妙にお洒落で金がかかっている。だが路地の奥まったところにあるためか、来場者はほとんどない。

戦地で怪我なんかしたら悲惨だと思う。虫歯が痛いのに会社が忙しくて歯医者へ行けない程度のことで泣き言を行っている僕には、体内にめり込んだ弾丸を麻酔もせずにナイフで切り開いて取り出すとか想像を絶する。

企画展(というほどのものでもないが…)では水木しげるさんの生原稿などがいくつか展示されていた。中でも興味深かったのは、彼が戦中にトーマで描いたというスケッチである。《負傷した兵長》《少年》《もと運転手と家の中》《子ども》《ラプ(老人)》の5点は捕虜になった水木青年が現地で鉛筆と紙を調達して絵を描いたそうな。

会場でループ上映されていたドキュメントの中で、水木しげるさんが戦地においても軍国主義に熱を上げることなく、常に自分の興味に忠実なアナキスト的な趣向を持っていたことに感慨を覚えた。戦争で片手を失っても、捕虜になっても、絵を描ける喜びのほうが先にある。そのようにして描かれた5枚の絵には敵も味方もなく、まっすぐに対象となる人間への興味に導かれていた。これも 戦争と芸術 を考える上で重要なところかなと思った。

彼の本はいくつか手元にあるが固め読みしようと思っているため、どれもまだ読んでいない。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 23:50