bemod

2008年01月10日

悪問だらけの大学入試 ― 河合塾から見えること

丹羽健夫/2000年/集英社/新書

国語入試問題必勝法面白い。『 笑う入試問題 』が一般向けなのに対して、こちらはやや教育関係者向けの本といえるかも。ともかく考えさせられた。

そもそも予備校は行ったことがないので、この本の著者の意見がどの程度の精度を持っているのかはわからない。小阪修平『 思想としての全共闘世代 』あたりを読むと、予備校というところは新左翼の残党が跋扈しているような、ちょっとアナーキーで反権力的な空気があるらしい。もちろん今はそういうのは完全に無くなっているように思われるが(知らんけど)。

そういえば、著者が勤務している河合塾は、2007年春に文部科学省が実施した全国学力・学習状況調査について独自の分析結果を発表していた。あの調査はベネッセが受注していて、分析結果もベネッセが公表していた。にも関わらず、分析がぬるいということで、独自の分析結果を公表したのである。こういう挑発的ともとれる行為の裏側には教育に対する熱い思いが透けて見えるし、この本もそうした思いの延長線上にある。

何を持って悪問というかは人それぞれであるが、生徒の学習が公平な形で評価されるような入試であって欲しいという著者の思いが伝わってくるいい本だった。

僕の受験勉強にはあまりいい思い出がない。

僕が受験勉強を明確にしたと言えるのは高校3年生の夏休みが終わってからだった。2年の後半に受験を理由に部活を辞めたくせに、オタク活動ばかりしていてほとんど勉強をしていなかった僕は、3年になっても成績が伸びずちょっと焦っていた。そんな僕がとった受験対策が「暗記」だった。この頃のことはあまり思い出したくない。大好きな数学がまったく好きではなくなったのもこの頃だ。暗記は即効性が高く、おかげで物理と化学では、それほど好きではない化学の方が成績が高くなるという悲しい現象まで引き起こしまう結果となった。

高校3年生の9月から12月の4ヶ月間は本当によく勉強したと思う。勉強というか暗記。もしもその行為を受験勉強というのならば、これまで読んできた受験関係の本のように生きる力を養うかどうかは疑問だ。受験生は時間がない。特にセンターを受ける人は覚える事が大量にあって、当時の僕も中国の科挙もこんな感じだったのだろうかと思ったりしていた。

最近は中学受験を肯定的に捉える言説が多いので、受験関連の本はもうちょっと読み進めてみないとたぶんいろいろ納得できないと思う。

Posted by Syun Osawa at 00:37