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2008年10月06日

イシュトヴァーン・オロス上映会&トークショー

2008年9月15日/19:00−21:30/杉並公会堂小ホール

イシュトヴァーン・オロス上映会&トークショー久しぶりにアニドウの上映会へ。

「叫び」という作品でいきなり度肝を抜かれた。手描きの線でひたすら書き連ねるという古典的なアニメのスタイルなんだけど、ともかく絵が超絶的に上手い。あれはライブトレースなんだろうか? 画面の変化のさせ方とかも想像の斜め上に行っている感じで。感動しまくり。うーん、凄い。

しかも、今回は作者本人のトークショー付き(ありがたい)。オロスさんの話によると、メディアで一番よく取り上げられるのは『マインド・ザ・ステップ!』という作品だそうな。この作品は冷戦時代につくられた作品だからだ。作品の中では閉塞感に満たされたアパートを舞台に袋小路に入って行き場を失っている人間の姿が描かれている。しかも、出口には戦車が控えている。この作品は昨今大流行の日本のループアニメにもつながりそう。

オロスさんは『マインド・ザ・ステップ!』について、この作品は冷戦時代だったから意味があったと述べ、「自由な社会になった後に『マインド・ザ・ステップ!』のような政治的な作品をつくることは、表現技法のテクニックの一つである」と述べた。今回の上映会の中で、オロスさんのこの言葉が僕にとって一番の収穫になったかもしれない。というのも、個人的に戦争は芸術家にとって無視できないものであるという観点から、戦争と芸術 について考えているためで、表現者の中で実際に冷戦を体験したような人からこのような言葉を聞いたのは初めてだったからだ。

例えば 聖徳記念絵画館 には戦争や政治に関係する作品が展示されているが、その多くがリアルタイムで描かれたものではない。どこまでを戦争の当事者であるかと考えると、それはまた微妙になるのだけど、ともかく芸術家が見つめる世界が自分の作品に投影されないわけがないし、逆に時代の変化を無視してそこに固執し続けるのも変な気がする。

そういう部分も含めて、『マインド・ザ・ステップ!』とそれ以降、もしくは東欧諸国で冷戦時代につくられた作品と、冷戦後につくられた作品の変化に注目してみると面白いのかもしれない。もちろん、何もない…ということも十分に考えられるのだけどね。

凄いわ…。いやマジで。DVD買ったよ。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 00:45