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2008年10月31日

ひぐらしのなく頃に解(全24話)

監督:今千秋/2007年/日本/アニメ

ひぐらしのなく頃に解(全24話)解は前作のヒットがあったからなのか、作画のクオリティは圧倒的に前作を越えていた。とにかく金がかかってる。だからといって、前作を越えて面白かったかというと、そうでもないのがアニメーションの面白いところだな。

「ひぐらし」シリーズの核心部分を、仲間や兄弟との絆や明日を生きることへの強い思いなどに据えるのなら、そのあたりは前作である程度終わっている。そして今回の「解」はミステリの謎解き部分にほとんど費やされた感じ。特に後半はネタがもろバレになって、アクションシーンが物語を引っ張る格好になってるしね。それはミステリの宿命なんだろうけど、そうなると弱い部分も見えてしまう。特に国とか自衛隊とか出て来てからの陰謀系の話はちょっとおじさんには最後まで違和感を取り除けなかった。

答え合わせ的な設定部分をのぞけば、ストーリーの構造も斬新だったし、前作と合わせて考えれば、僕の見たアニメ作品の中ではかなり面白かった部類に入ると思う。

というわけで、以下、感想メモ。

第01話 サイカイ

雛見沢村で起こった大災害から20年後の世界。前作はこの大災害については深く触れていない。というのも、前作で続いていたループの世界というのは、大災害の直前までを描いた世界だったからだ。そこでの謎はある程度明らかになったが、大災害を含めた大きな謎のほうは依然明らかになっていない。惨劇が繰り返されるループの世界を抜けているのはレナだった。前作の中盤では前原圭一がループを抜け出していたように思うのだが…。ともかく設定がバイオっぽい。今作では古手梨花が大きな役割を担っていることは間違いないようだ。

第02話 鬼ごっこ(厄醒し編 其の壱)

大災害前のループに戻る。今回も序盤は平穏な萌え萌えな日常が描かれている。これまでと少し異なるのは、園崎詩音が双子の妹として学校にいること。これはかなり大きい。これによって過去の惨劇の大部分は防ぐことができるから。あと、北条沙都子が注射を打っている。人体実験のモデルであることが暗に示されているわけで、これは前作の一回目のループで圭一が打たれそうになっていたことと、前話で竜宮レナが古手梨花に渡された注射器を拒否したことが大きな謎の複線になっているんだろうと思う。

第03話 無力(厄醒し編 其の弐)

完全に古手梨花のターン。大災害の話はひとまず放置。その前に殺されてしまう古手梨花は、綿流しの惨劇までの日常が繰り返されていることに気づいている。そして、その抗えない運命について会話を続けている。北条沙都子はそのことに気づいた模様。いよいよ、ループから抜けるための一歩を踏み出すのだろうか。踏み出したとしても、その後に大災害が控えていると思うんだけどね…。

第04話 予定調和(厄醒し編 其の参)

今回は萌え萌えな日常シーンが長いな。古手梨花は完全にループに抗うことをあきらめている。どんな選択肢を選んだとしても、バッドエンドしか迎えないからだ。しかし、北条沙都子はループを知らない。だから梨花を助けるために必死で奔走する。今回は医者が自殺。また違う選択肢が選ばれた。そして、不振な作業服の男の数が増えており、刑事を一人殺した。たしかにゲーム的だな。『痕』というゲームの何度目かの繰り返しプレイ時のような気分で見ている。

第05話 雛見沢大災害(厄醒し編 其の四)

今回、初めてこれまでのループを超えて雛見沢大災害まで話が進んだ。死を予告していた古手梨花は殺害され、いつも置かれていた神社に放置される。その後、生き残ったのは北条沙都子(吊り橋から落ちて生き残るなんてw)。しかし、病院で死亡した。竜宮レナは行方不明になっているが、第01話とあわせて考えれば追っ手から逃れることができたのだろう。ともかく、世界観がだいぶあらわになってきたことで最終章に近づきつつある。『ドラゴンヘッド』の後半みたいな感じと言えばよいか。

第06話 迷路の法則(皆殺し編 其の壱)

またいつものループに戻る。しかし今回は古手梨花が世界がループしていることの事実を隠そうとしない。残念なことに、一度はループに気づいた前原圭一が今回はまだ気づいた様子がない。ただ、ゲーム大会で得た人形をレナではなく魅音に渡したことで一つの惨劇は免れた。古手梨花それら一連の流れを独白によってうまくナビゲーションしている。ゲーム的に見せるための技術が上手に生かされている感じ。今回から羽入という新キャラ登場。古手梨花はスタンド使いでもあったのだw

第07話 運命の変え方(厄醒し編 其の弐)

トゥルーエンドに向かっているような話の流れ。明らかに全員の選択肢が上手くいっているように見える。この作品が他のタイムリープものと少し異なって見えるのは、登場人物がゲームのフラグ(選択肢による分岐点)を意識しながら行動しているからかもしれない。あとの話数が結構残っているので、このまま終わるとは思えないけどどうだろうか?

第08話 揺らぎ(厄醒し編 其の参)

さすがに、このままトゥルーエンドに向かうはずもなく、北条沙都子のおじが帰ってくるイベントが起こってしまった。このイベントはバッドエンドにつながっていることを圭一はすでに理解している。彼以外の人間も、どうやらこの世界がループの途中にあって、トゥルーエンドで抜け出せると漠然と考えているようだ。いつの間にそんな気持ちの変化があったのだろう? ともかく、完全にゲームを攻略するかのごとき振る舞いで物語が動いていることは間違いない。さすがに「解」とついているだけあるな。

第09話 交渉(厄醒し編 其の四)

「解」になって、殺戮シーンが減ったことと、展開が遅くなったことで、ちょっと引きが弱くなったように感じる。向かう先が明らかになってしまっているので、そこへ向かう楽しみはあるのだけど、ミステリーの部分がちょっと弱い(とはいえ、まだ残っているのだが…)。話数が残っているので、まだまだどんでん返しがあるのだろうと思う。北条沙都子をおじの虐待から救うことがともかく一番の目的。

第10話 対決(厄醒し編 其の伍)

役所と町会の関係とか、児童相談所の所長のくだりとか凄い古臭い気がするんだけど…。なんかちょっとずつ面白さに対しての不安感が大きくなってる。あれだけの人間が児童相談所の前に集まっているのに許可とっていないとか、ダム戦争をやっていたのなら当然そんなことくらい知っているはずなのになぁ。っていうか、北条沙都子の件をあのような形で先延ばしにする児童相談所って存在するのだろうか…。ようわからないけれど。

第11話 強い意志(厄醒し編 其の六)

タカノに新しいフラグが立った! 前半にトゥルーエンドにいくとみせかけといて、ひっくり返って新展開。雛見沢症候群という、これまでのループより大きな話のミステリーが少しずつ解明されるほうに物語が転がり始めた。これまで活躍した仲間たちは完全に放置プレイだけど、少しずつ世界観が開陳される楽しみというのを少しだけ感じることができた回だった。ひっくり返しの哲学がいきている。

第12話 雛見沢症候群(厄醒し編 其の七)

すごい展開になってきたw 古手梨花が死んだら、それが引き金を引く形になってその後の大災害が起きるのだという。そらループするわけだな。なかなか面白い構造をしているな。ただ、そこに至る裏側の設定はずいぶん強引だなぁ。この点に関しては『 AIR 』の時と同じ感想。物語をスムーズに動かすためにつくられた側壁で、それがずいぶんと直接的なのだ。面白ければそれはそれでよしということなんだな。いいと思う。刑事二人が死んでしまった。おそらく新しいタイプのバッドエンドに近づいているのだろう。

第13話 終末(厄醒し編 其の八)

バッドエンド! にしても、タカノのくだりっていうか、陰謀論めいた展開はちょっとトーンダウンしてしまったな。ミステリーって大概そうだから、仕方ないって言えばそうなのかもしれないけどね。あと、『 AIR 』のときもそうなんだけど、逃れるべき方法なんていくらもあるのに、そんな方法がないかのように物語が進んでいくところはどうしてもスッキリと受け入れられない。北条沙都子も古手梨花も一日だけ生き通したいのなら、警察署に泊まればいいだけなのにわざわざ人里離れた山奥で子ども二人で寝ている。そういうところを一切ぶっ飛ばしていくところに新しさがあるのかもしれないけれど…。

第14話 三四(祭囃し編 其の壱)

タカノの幼い頃のエピソード。タカノも孤児だった。孤児ばっかり。そして、全員トラウマを持っている。タカノはおじいさんの研究を引き継ぐために、フリーメーソンめいた組織(といっても国の関係者なのだけど)に取り込まれ、生物兵器の研究に加担するようになる。その後の爆発につながる経緯はある程度視聴者には明らかになっている。ほとんどネタばれしているのかな? 悟史の失踪とかは後に効いて来るのかな? とりあえず、新エピソード開始。かなりSFめいた展開になってきた。

第15話 蠢き(祭囃し編 其の弐)

タカノのエピソードから新しいループへ。父の宿命を背負ったというだけで、タカノが人の命を顧みずに殺人をしまくるというのはちょっと変な気もするが、ともかく物語は大きな方向へ。ダム戦争の時代に少し時間が戻って話が進み始めた。

第16話 終わりの始まり(祭囃し編 其の参)

羽入の役割も大きくなってきた。惨殺のループとダム戦争を経由して大災害へと接続させる手腕はなかなか凄い。このアニメは本当にこれまで見たタイプのどれとも違っていて、とても好感触。そして、「解」は前作と比べて明らかに作画に力を入れている。金がかかっているということは、それだけ支持している人がいるってことなんだろうね。

第17話 謀略(祭囃し編 其の四)

羽入の声って堀江由衣さんだったんだ…。古手梨花=田村ゆかりってことでのコンビなのね。もちろん狙い撃ちなんだろうな…。ということはさておき、タカノが勝ったり負けたりしながら話がまっすぐに進んでいる。わりとザックリ進んでいるので、そんなことあるかな? なんて突込みが頭をもたげたりもするけれど、過去の殺人事件の謎が少しずつ解決しているのはいい。

第18話 最後の駒(祭囃し編 其の伍)

オーラスへ向かって外堀を埋める回だった。最後に前原圭一が登場してほとんど舞台の裏側は明らかになっている。後は運命に抗い、戦うだけ。敵ははっきりとわかっているのだ。しかし、そのための駒が一つ足りない。ということで、最後に新キャラとしてスタンドだった羽入が登場? すごい大技だなぁw

第19話 幕開け(祭囃し編 其の六)

羽入完全登場。羽入はタカノが主犯であることを記憶していた。ようやく最後の敵を明らかにした状態でゲームが進められるようになった。相手の規模(まさかの陰謀説ですけどw)がどの程度かは判然としないが、ともかく戦う目的と信じられる仲間が設定されている。あとは戦うだけ。…という流れが結構長く続いているなぁ。引っ張り過ぎ?

第20話 トラップ(祭囃し編 其の七)

みんなしてタカノ包囲網をつくっている。このままいけば、それなりに終わってしまいそうなんだけど、もう人波乱くらいあるのかな? あるといいな。

第21話 48時間(祭囃し編 其の八)

なんか凄いでかい話になってるww いいですねー。こういう展開は久しく見てなかったのでとても楽しい。悪の組織がちょっとでか過ぎるというか、タカノの論文を信じて全力で行動するお前らこそ何なんだよ、みたいな感じもあるけどね。

第22話 攻防(祭囃し編 其の九)

えええええっ!? 最後、えええええっっ!?? いやいやいやw カンフーですやん。ピストルとか爆弾とか持って追い詰めたのに、最後にカンフーとか。しかも、山犬による二度目の突入はあっさり撃退してるし。ってことは、最初の突入でも止められたんじゃないの? カラシニコフを持ってる相手を生きた状態で捕まえるとかどうやったのよ?? 最後に悟史が生きていることが判明。気になっていた最後の謎もいよいよ解けようとしている。

第23話 血戦(祭囃し編 其の拾)

ヤバい…どうしよう。この数話というもの、お笑いアニメ道場みたいな展開になってる。山犬の馬鹿さ加減によって、これまで築き上げてきたミステリの部分がどんどん色あせていく。悟史失踪の謎も解けたし、最終話を前にして、緊張感が一気になくなりかけている。いやあと一話。総決算として、もう一度冒頭の緊張感を呼び覚ましてくれるはず!

第24話 オシマイ(祭囃し編 其の拾壱)

タカノのキャラは最後まで掴めなかった。最後の最後でピストルに弾が一発入っていた。狙うのは当然梨花だろう。しかも、弾は入っていなかった…みたいなオチとかさ。山犬の後の番犬とか、結局陰謀のところがすんごいザックリしてしまって、ここのミステリの部分はスッキリしたけど、大オチだけ妙にお子様ランチ風だった。だから最後にお子様ランチのエピソードが?

てな疑問もあったけど、総じて面白かった。両シリーズ通じて全50話を1ヶ月足らずで制覇したのだから、かなり熱中して見たのだと思う。どちらかというと、「解」よりもミステリと構造だけに特化した 前作 のほうが面白かったかな。作画は断然「解」だったけれどもね。

Posted by Syun Osawa at 00:53