bemod

2009年08月10日

ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序

監督:庵野秀明/2007年/日本/アニメ

ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序新劇場版なるものが公開された当初、「さすがにもうエヴァはいいでしょ…」と思って完全にスルーしていた。先日、知人から「『ヱヴァ破』観た? 凄くよかった! 劇場で観たほうがいいよ!」と言われてその気になり、第一弾の「序」も見ていなかった僕は、急いでGEOでDVDを借りて観ることにした。

ダイジェストやん…。

本当にそのレベルで何も知らなかったのだ。当然『エヴァ』が『ヱヴァ』に変わっていることさえ知らなかった(芸能人の改名やないんやから…)。

そんなわけだから、ハイクオリティなTV版のダイジェストとしか言いようがない。しかも、シンジがレイに言う「笑えばいいと思うよ」でおなじみのシーンまでで終わったってことは、次の「破」はここからの続きということか? つーことは、またダイジェストってこと? でもそれだったら、知人が「凄くよかった!」と言うはずがないな…。

たしかにラストのところでカヲルが登場したり、エヴァの号数が増えてたり、リリスのところが簡単に処理されてたりと、TV版とは違う展開を見せているので、違った話になるのかもしれない。

ともかく謎解き以上に、ドラマの展開がせわしな過ぎて、TV版と劇場版を観たことのある人でないと状況を読み取るのは難しいんではないのかな? 僕もリリスの謎とか、ゼーレの役割とか、ぶっちゃけほとんど覚えていなかった。以前は謎本をちょろっと読んだりして、自分なりの補完計画をしてたんだけど、それさえ忘れてしまったので、今回は作品の輪郭をうっすら思い出したという感じ。

映像のほうでは、メカを中心にセルシェードの3Dで処理されていたところが目に付いた。TV版の頃はそれほど3Dは多用してなかったと思うので、そう考えると今回はダイジェスト的な内容とはいえ、かなり画面に手を加えられていたのかもしれない。特にポイントとなる表情なんかも、丁寧に描き込まれていたように思う。あれもTV版だともう少しわかりやすい表情をしていたような気がする。あと、昔はあまり思わなかったけど、エヴァの造形ってダンバインとかガイバーの路線に近いのかも…。

今回、6年ぶりくらいにエヴァを見ながら、何でこの作品はこんなに流行ったのかを考えていた。もちろん神話や哲学の言葉をちりばめた衒学志向や、謎の部分を多く残した世界観に引きつけられた事は間違いない。しかしエヴァ以降、世界観にそうした含みを持たせた作品(世界観開陳モノと僕は呼んでいる)が数多く登場したが、その多くが成功しなかったことを考えあわせると、多くのライトなファンを魅了したのは別の部分にあると思われる。

早い話が、エンターテイメント作品として優れていたわけだ。特にピンチの作り方が類似商品と比べても圧倒的に上手い。『 未来少年コナン 』に代表される宮崎駿イズムといえばわかりやすいか。絶体絶命のピンチをいかにして潜り抜けるかというあのドキドキ感。エヴァにはそれがある。使徒はメチャメチャ強くて、エヴァは毎回余裕で勝っているわけではないし、必殺技を持っているわけでもない。気を抜くとシンジのナイーブなところとかに引っ張られがちだが、あの絶体絶命を切り抜ける瞬間に湧き上がるスペクタクル感がなければここまでライトなユーザーを巻き込んでのブームにはならなかっただろう。

ところで、本作からは制作がカラーとなっている。この会社は監督の庵野氏が設立した会社らしい。wikiでこの会社の情報を見てみると、この会社には松原秀典氏が所属している。そして、僕の尊敬する田中達之氏までもが所属!そうか、だから漫画が発売されないんだな!…と思ったら、田中達也という人だった。この方は電柱作監として有名な人らしい。

ヱヴァンゲリオン 新劇場版:破 』へつづく。

Posted by Syun Osawa at 01:49