bemod

2009年08月22日

ヱヴァンゲリオン 新劇場版:破

監督:庵野秀明/2009年/日本/アニメ/新宿ミラノ

ヱヴァンゲリオン 新劇場版:破面白かった。つか、楽しかったw

内容が旧エヴァとどう違っているかとか、旧エヴァの中に潜んでいた問題はどう克服されているのかというような面倒くさい話は抜きにして、登場したキャラクターがかなり自由に動いていて、それが何より楽しかった。旧エヴァが持っていた複雑な世界観がある程度明るみになった今の状況下で、あえてエヴァを新シリーズとして続けるのなら、アクションのクオリティやキャラクター性をより前面に押し出すのは必然ともいえる。

そうした興味で言うと、最近見たアニメ作品の中では『 ノエイン 』第1話や『 エウレカセブン 』第26話の戦闘シーンなんかがそれに近い。あの圧倒的な動きが全編にわたって繰り広げられており、特に今回はアスカだけでなく、新キャラの真希波マリの操縦するエヴァもかなり奔放に動いており、アクションの醍醐味を見せつけてくれた。

この流れはゲームで言うところのファンディスクに近いのかもしれない。新劇場版はTVシリーズよりも時間が圧縮されているため、物語の進行がかなり急ぎ足なのが残念だが、その点も含めて僕にはOVA『トップをねらえ』の頃のガイナックスっぽくて好感触だった(実際の制作はガイナックスではなく、庵野氏が設立したカラーだけど…)。

ストーリーのほうは若干単純になっているような印象を受けた。日本以外の国々と整合性を持たせているために妙に開けた感じになって、逆に終末観が弱くなってしまってる。漫画だと望月峯太郎『ドラゴンヘッド』なんかでも、世界が開けて状況がわかってしまうと、見通しがよくなって、どうしても緊迫感が薄れてしまう。

これは仕方ないわけだけど、そうした弱くなってしまった部分を、圧倒的な動きと『トップ』の頃にあった過剰な乳揺れあたりで補っているもんだから、ファンディスク的要素が強くなってしまったのだろう。で、僕はどちらかというと、初期ガイナックスの時代のこういう側面が好きだったので、普通のアニメファンとしてかなり楽しめた。

レイの妙に艶っぽい成長だったり、新キャラの積極的なキャラ設定が、何もしないシンジのハーレム度をさらに高めているような気がして、そこはちょっと気になってはいるが、アスカとマリの微妙な対立軸なども含めて、恋愛要素がヲタの脳髄を刺激することは間違いない。僕もすっかりやられてますw

てな、萌え要素はさておき、僕がエヴァシリーズの中で一番感銘を受けているポイントは別にある。それは「ピンチ」の演出だ。今回もこの演出が冴え渡っていて、それだけで僕は大満足だった。宮崎駿直系というか何というか、ギリギリのところでいかに切り抜けるかというあのスピード感を出せる人ってそうはいない。そして、今回はTVシリーズ以上に、そうしたシンプルなアニメの面白さに貫かれていたように思う。

『ヱヴァンゲリオン:Q』へつづく

Posted by Syun Osawa at 00:53