2009年09月05日
涼宮ハルヒの憂鬱(全14話)
監督:石原立也/2006年/日本/アニメ
小説の第1巻をかなり昔に買ったのだが、読んでおらず、それゆえにアニメもずっと見ないままだった。小説を当面読む気がないために、あきらめてアニメのほうを先に見ることに。
テレビとDVDでは話の順番が入れ替わっており、時系列順に並べてもそれらとは異なる。しかも、2009年度版は全14話にさらに話数を増やして(伝説のエンドレスエイトとか)やってるもんだから、見た人によって作品の印象はかなり変わるじゃないのかな? 同人誌『Final Critical Ride』の付録CDに収録されていたラジオで、東浩紀さんが小説版のハルヒをセカイ系の臨界点的な作品としていたが、アニメ版は外していた。
こういう状況もあって、ハルヒってどういう位置づけの作品なのかよくわからない。こういうところもメディアミックスの弱さだな…と思いつつも、小説はおそらくよほどのことがないと読まないだろうし、新シリーズを見るのもしばらく後になりそう。とりあえず、僕はwikiにしたがって、初出のTVシリーズ全14話で見ることにした。
以下、感想メモ。
第01話 朝比奈ミクルの冒険
なるほど、そういう始まり方をするわけね。アニメ見すぎてすっかり中毒になっている人からしたら、こういう目線の変わったアニメが喜ばれる理由はうなづける。M-1に笑い飯が初登場したときの感じに似てるかも。
第02話 涼宮ハルヒの憂鬱��
ここからが正式な第1話なわけね。企画会議か何かの段階で、この回を一話に持ってくるのは弱いと判断した結果なのかな? メインキャラクターがおおよそ登場。主人公の男性が振り回されることは、最近のアニメには結構多いとはいえ、冷静な突っ込み役に徹する主人公はゲームで言うところのプレーヤー視点とも近い。なるほど…こういうアニメなのね。アニメばっかり見てる人(僕とかw)には、たまにこの手の変化球な作品は悪くないのかもしれない。脚本と監督は立岩さん。『 AIR 』の監督の人。僕の中では最もアルチザン的な監督だと思っていて、いい意味で作品の世界観に忠実であるところが好きな監督だ。
第03話 涼宮ハルヒの憂鬱��
たいした動きなし。きょんが長戸の家へ行ったのと、みくるとハルヒがバニーガールのカッコになったくらいか。そもそもきょんの台詞って『ちびまる子ちゃん』とかだとナレーターが言う台詞じゃなかろうか…。見る側と見られる側の間を意識させるナレーターの役回りの登場人物(絵で言えば額縁とかインデックスとかになるか)がアニメの世界に入り込んだという意味でだまし絵の文脈でも考えられるのかもしれない。SOS団のスピリチュアルさって、『ムー』とかの世界の新局面なのか?
第04話 涼宮ハルヒの退屈
なるほど…こういう感じなのね。ようやくハルヒのことがわかってきた気がする。草野球大会にSOS団で出場して、いきなり優勝候補と対決。当然のごとくボロ負けしかけるのだが、ここで長戸のキャラクター性がググッと持ち上がってくる。後半で、きょんは長戸のすむマンションへ行く。超能力がサラッと出てくるところは、やっぱりファンタジーなんだな。
第05話 涼宮ハルヒの憂鬱��
長戸のマンションからスタート。長戸のキャラクターが現実社会の人間の合理性から考えれば一番有り得ない設定じゃないかな? 主人公のボソボソ言うツッコミは、『ちびまる子ちゃん』のナレーターとさほど違いはない。『ちびまる子ちゃん』のナレーターは、その役割によって作品の中の家族劇と視聴者の間を区分けする役割をしているが、きょんはそこの部分がちょっと曖昧になっている。劇の中の役者であることは間違いないが、視聴者のようでもある。それにしても登場人物が衒学趣味的に語る語る。で、みんなが超能力者だとか言い始めた。何だか『 ノエイン 』を思い出して、ちょっと嫌な予感がし始めているw
第06話 孤島症候群・前編
海の話。陸の孤島というミステリー要素の強い話でなかなか悪くない。『うる星やつら』的に高校生がいろいろなところで荒唐無稽な体験をするという80年代の流行を再帰的に、しかしゼロ年代のアレンジを加えてやっているところに人気の秘密があるのかな?
第07話 ミステリックサイン
続きじゃないんかいw ホームページのロゴを作って、それを見た者が異世界へと転送されるようなよくわからない話。いや、話の筋はしっかりしているのだけど、荒唐無稽さを楽しむように強いられているような、強引なノリがこの作品にはあるな。『うる星やつら』のような、キャラ同士の繋がりが中心の話ではなく、キャラと世界観の話が中心という感じ。僕はこの手の作品は今まで見たことがないので結構新鮮。それにしても、会話多いな。
第08話 孤島症候群・後編
海の話完結。何で第7話に違う話が挟み込まれていたのかわからん。結局、ハルヒの力でおかしなことが起きる前に、事前に仕組んで偽装の殺人事件を仕立てたという…わかってしまったら、「あっそ」という内容だった。ナディアの島編みたいなものか(違う)。
第09話 サムデイ イン ザ レイン
最後の最後に恋愛モード炸裂www みたいな回だった。たしかにわかるよ、カーディガンの話とかはさ、傘を二人で歩くところとかのくだりもわかりますよ。僕も好きだし。でもそこに到る文脈が余りにもキャラクターに依存されて過ぎやしないかと気になった。でもそこでデレてしまう自分がいることは決して否定しないが。
第10話 涼宮ハルヒの憂鬱��
冒頭で恋愛を語る涼宮。ここで初めて彼女にも恋愛云々の感情があることを知る。なるほど…そういう態度なんだな。朝倉がバックアップとか言って、キョンを襲ってきた。で、長戸が救った。涼宮の宇宙人を欲望する態度と、無自覚にそれらを引き付けていながら気づかない状況の二重性って面倒臭いな。そこが面白さなのかもしれないが…。
長戸はいい感じ出している。未来から朝比奈が来て、適当なタイムループがあった。長戸が言うところの異時間同位体ということらしい。この作品をゲームだと思えば、主人公はプレーヤー目線だし、3人の誰を選択するかみたいなところが浮かんでくるので、ゲーム的リアリズムなんだろうなぁ…。まぁ…それなりに実感はできる。
第11話 射手座の日
コンピュータ研とゲーム対決の回。使ってるのはXPか。いきなりSFの世界で始まった。こういう遊びもたまに見るのはいいのかなw …と思うことにしよう。ところで、ハルヒって何で毎回喋るときに「っぅん…」って溜め作って喋り始めるんだろ? ここ数話で俄然長戸のキャラが立ってきている。前半は朝比奈だったから、後半は長戸という事か。よくわからん関係性だが、さすがにヒットしているだけあって結構面白い。
第12話 ライブアライブ
文化祭でハルヒが歌う神回というのはこの回だったのか。何の気なしに見ていたら、突然ハルヒと長戸が出てきて歌ったのでビビったw あの歌のシーンはやっぱしいいね。曲もいい。長戸がギター上手すぎるところは宇宙人だからいいとしても、ドラマとしてはあまりにも逆説的で唐突な印象だった。ここはもう少し盛り上がる回だと勝手に思っていたので、ちょっと拍子抜けだった。
第13話 涼宮ハルヒの憂鬱��
『ONE』というアニメのようなハルヒの独白があった。ここまでナイーブなのが混ざってくると面倒臭いな…。一応、「憂鬱」というくらいだから、この感じでいいのか。時間軸どおりに話が進んでいないので、何だかよくわからない。この回は作画枚数的に厳しかったのか、スクロールと3D多様で、しかも語りがかなり多い。SF的な考証は結構だが、それをただ一人の独白だけで何とかするのは小説の作法であって、アニメではそうじゃないアプローチがほしいと思う。涼宮ハルヒ中心主義の世界。セカイ系で言うところのセカイは誰のものでもなかったが、この作品の中の世界はハルヒの認識によって形作られた世界でもあるらしい。ハルヒはどんな知の巨人やねんw
第14話 涼宮ハルヒの憂鬱��
ハルヒと共に閉鎖空間へと移動。小泉の話だと、違う時空にある新世界とのこと。で、そこから脱出する方法がハルヒにキスするとか…。そもそも論として、何で長戸はそうした世界の構造そのものを知っているのかとか、閉鎖空間ではなぜ電気や水道が通っているのかとか、どうでもいいことが結構気になってしまっていた。既視感のある世界のループとかも含めて、まぁ…ポストセカイ系なんだろうとは思うが、作品自体の受け入れられ方は、過激のキャラ達の関係に妙な「良さ」を感じてしまうという、『お父さんは心配性』に家族の「良さ」を感じ取ってしまうのと同じなんだろうなぁ…とは思う。石立氏が監督するこの手の作品は、妙に職人気質にカッチリ作るので、満足のいく形で見終えることができるのは『 AIR 』の頃から変わらない。
Posted by Syun Osawa at 09:45