bemod

2009年09月17日

悪魔の手毬唄

監督:市川崑/1977年/日本

悪魔の手毬唄女王蜂 』『 犬神家の一族 』に続いて観賞。公開順では、第二作目らしい。

この作品はとにかく岸恵子が綺麗だった。ネタバレしてからの回想シーンで、殺意を抱いたときの表情なんかは若干昼ドラっぽいし(失礼)、老婆姿もどうなの的な突っ込みはあるが、何しろ綺麗なのがいいね。あと若山富三郎も京極堂シリーズの木場っぽい雰囲気で、いい味を出していた。

ストーリーのほうもなかなかいい感じ。人に薦められてチョロチョロ読んでいる京極堂シリーズもそうだけど、戦後すぐという設定が凄くいいんだろうな(横溝正史の場合はリアルタイムだったわけだが)。当時の村に見られた閉鎖性ゆえの複雑な人間関係とか、戦前と戦後のイデオロギーの転換とか、帰還兵の問題とか、戦後民主主義のゴタゴタとか、面白い要素が豊富にある。

ただ、今回は人間関係の部分が前作以上に複雑で、登場人物の関係性を把握するだけでもかなり大変だった。そのため、どうしても前半から中盤にかけては説明的にならざるを得ないし、心理劇で引っ張っている中盤は少し中だるみしているようにも思えた。そうは言っても、あれだけ複雑な人間関係を会話劇だけで説明しきるわけだから、そこが市川監督の手腕ということなのかもしれない。

この時期に作られた市川監督の金田一シリーズは、今のところ必ず2時間後に犯人が明かされている。で、残り20分で謎解きとドラマの再構築。キッチリしてますな。キッチリしているといえば、エロシーンが必ずレイプというテーゼは今回も健在だった。

Posted by Syun Osawa at 00:59