bemod

2009年12月05日

ターザン

監督:ケヴィン・リマ、クリス・バック/1999年/アメリカ/アニメ

ターザンディズニー作品を観たのっていつ以来だろ? 調べてみたら2006年に『 ファンタジア 』を観たようだが、アレは今の黄金期の作品だし、今のディズニー体制ということになると、2003年の『 ラマになった王様 』あたりが最後かも。もっとも、短編だけなら某上映会でちょくちょく見ているが…。

ストーリーはいかにもディズニーって感じ。ターザンを取り巻く動物達があまりにも人間に都合よく配置されすぎているところは気持ち悪いし、正義としてのターザンが悪いヒョウや悪人を殺すシーンは、ターザンが直接手を下すのではなく、戦いの中でアクシデント的に死んだように見せかけているところも気持ち悪い。そういういかにも偽善的なアメリカをガッツリ受け止めて観てしまうと、こういう作品はなかなかキツい。

ディズニー作品を僕の嗜好に合わせて楽しむためには、やはり演出や動きのほうに注目するべきなのだ。この作品の演出はなかなか見事で、ミュージカルのパートで時間の経過を一気にはしょって、ポイントとなる戦いのシーンだけは濃密に、しかもピンチの連続として描いている。この連続性と起伏の作り方が非常にダイナミックだと思う。こういう王道の演出は、ディズニー作品では定番なのかもしれないが、日本の作品となると宮崎作品くらいしかお目にかかれなかったりするから不思議だ。

動きのほうも見事。3Dとの組み合わせも凄まじくて、空間の使い方がとても上手い。こんなに素晴らしいスキルを持っているスタジオなのに、完全3Dに移行するとか、ディズニーも本当にバカなことするよなぁ。

ところで、宮崎駿氏が『熱風 2009年12月号』の中のインタビューで、キャラクターの動きを描くアニメーターと、波の動きなどの効果を描くアニメーターの分業が確立してしまっているので、面白みがないと話されていた。この映画などはまさにそれに該当するのかもしれない。

話は少し飛ぶが、そのインタビューで宮崎氏は、フライシャー兄弟の『バッタ君 町に行く』について、面白いとか面白くないとかはいいから、とにかくシーンとか動きを見ろと語っていて、その潔さにただただ感心するばかりだった。僕もそういうシンプルな気持ちでこの映画を見るべきで、ターザンと恋人がジャングルに残る事で、野生の生態系が崩されていく事への批評的な思いなんてものは、もはやどうでもいいのだw あの動き、スペクタクル。アニメはそういうものを楽しめればいい、というくらいの距離感を持ってるほうが本当はまっとうなのかも。

Posted by Syun Osawa at 01:56