bemod

2006年09月14日

ファンタジア

監督:ベン・シャープスティーン ほか/1940年/アメリカ/アニメ

ファンタジア思い違いをしていたみたい。

僕の中で『ファンタジア』という作品はマルチプレーンを使って、俯瞰からグイグイとズームしてきたりするミッキーマウスの作品だと思っていたので、やや抽象的な作品群に面食らってしまった。

本作はクラシック音楽一曲ずつにアニメーションをつけたオムニバス作品になっている。その中でもミッキーマウスが登場する「魔法使いの弟子」は、シンプルな舞台で展開されるシーン作りの上手さと動きの美麗さに魅了された。そして何故だか落ち込んでしまった。水の描き方が尋常じゃない。先日見た『 ゲド戦記 』のオープニングの海のシーンも凄かったが、水のしぶき一粒一粒まで描ききっておりその労力たるや想像を絶する。

何でもこの作品がオムニバス作品として劇場公開された経緯として、「魔法使いの弟子」の制作費が膨らみすぎたために、短編作品としては資金の回収が不可能という事で急きょ長編作品に移行したそうな。

ここで、意外な発見!

この作品からミッキーマウスの目が「黒丸」から「白目の中に黒丸」に変わったらしい。面白いことに、東京現代美術館で開催されていた ディズニー・アート展 で『ファンタジア』のイメージボードを見たところ、ミッキーマウスの目は黒丸のままだった。これはちょっとした面白い発見。ミッキーの目が黒丸から白目付きに変わった時期というのは、ファンならば周知の事実なのかもしれないが、もしかしたら『ファンタジア』の製作過程で変わったことなのかもしれない。

「魔法使いの弟子」以外の作品について。

今回はクラシック作品にあわせてアニメーションをつけるというコンセプトだったので、今村太平さんの『 漫画映画論 』(岩波書店)で書かれていたような映像にあわせて音をつけるという方法とは逆のことをやっている。つまり、ディズニーは音楽と映像についてどちら試みも既にやってしまっていたのだ。ダフトパンクと松本零士さんがコラボした『 インターステラ 5555 』がやるよりもずっと前に。もっとも後者のほうはアルバム丸ごとを映像化した点が画期的なわけだが。

Posted by Syun Osawa at 00:36