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2012年08月28日

グループアイドル進化論 〜「アイドル戦国時代」がやってきた!〜

岡島紳士、岡田康宏/2011年/毎日コミュニケーションズ/新書

グループアイドル進化論 〜 「アイドル戦国時代」がやってきた! 〜wikipediaの焼き直しみたいな内容だった。もちろん悪い意味ではなく、結果論というか、そうなった事実の断片を羅列しただけのように見えてしまった。恐らくそう感じたのは、石井光太ノンフィクション講座 第2回 に参加したせいだろう。

ノンフィクションとして書き起こすならば、それなりに自分でコンテクストを構築する必要があり、そこに作家性も生まれるはずだ。そこが曖昧なまま、ネット(はっきり言ってしまえば2chの狼板など)をかなりのレベルで参照しながら出された後出しじゃんけんにどれほど意味があるのかは僕にはわからない。少なくとも進化論と名づけるのならば、勇気を持ってその進化の部分を論じて欲しかったと思う。

ただ、インタビューの部分はなかなか面白かった。TIFのプロデューサーのインタビューの中で、第1回の2010年当初からハロプロは参加の意向を示していたと書かれており興味深かった。残念ながらハロコンとの兼ね合いで参加は叶わなかったが、この前の 第2回 アイドル横丁祭!! 〜生バンドスペシャル〜 に℃-uteが出演したレールはすでにこの頃から敷かれていたわけだ。

ハロプロはAKBと同じで外部をあまり参照せず、内向きの共同体を拡大させていくことで生き残りをはかっていたように思う。僕はこれはかなり成功していると思う。ただ、それによってできた他のアイドルグループとハロプロとの間にある溝がかなり深まってしまったことも事実だ。

その溝を埋めて同じゲームボードに立つのがいいのか、それともオリジナリティを保つためにあえてその溝を残して住み分けたほうがいいのか、このあたりの判断はとても難しいと思う。少なくとも2010年以降のハロプロ(というかUFA)は、その溝に数本の橋をわたして、他のグループと同じゲームボードに乗っかる機会をつくっている。このあたりの戦略は、ヲタが思っている以上にずっとセンシティブなのだと思う。

Posted by Syun Osawa at 01:04