bemod

2014年11月05日

狂骨の夢

京極夏彦/1995年/講談社/新書

狂骨の夢姑獲鳥の夏 』、『 魍魎の匣 』と読んできて3冊目の京極本。小説をあまり読まない僕にはちょっと長くて複雑すぎたかな。

新本格というジャンルは謎解きの部分をがっつり引き受けているので、そっち向けのファンを納得させるためにはさまざまな仕掛けが必要なのだろう。そういう意味では3冊目にこういう複雑な設定をもってきたのはファンへのコール&レスポンスとして正しいのだと思う。

僕の場合は他の本を途中に挟みながら読んでしまったこともあって、何度も複線を見失ってしまった。何の話かを思い出しながら読むという体たらくでは、この本の良さを十分に体感できたとは言えず、読書そのものに対する反省ばかりが募った本だった。

しかしながら、そんなぐずぐずな読書でも最後まで読ませてしまうところが京極夏彦の凄さなのかもしれない。パズル的な楽しさをゲームのように全面展開するのではなく、表出されているのはあくまでドラマのほうであって、艶のある文章でストーリーを引っ張ってくれたため、小説をあまり読まない僕でも十分に楽しめた。いつものメンバーがあまり登場しなかったのはちょっと物足りなかったけどね。

Posted by Syun Osawa at 21:04