bemod

2009年01月09日

火の鳥 宇宙編

監督:川尻善昭/1087年/日本/アニメ

火の鳥 宇宙編1986年、1987年にアニメ化された『火の鳥』は全部で3本。1本目が『 火の鳥 鳳凰編 』で劇場公開された。その次が『 火の鳥 ヤマト編 』でこちらはOVA発売だったらしい。そして3本目が本作(OVA発売)ということになる。

3本はすべて監督が異なっており、今回は『 バンパイア・ハンター D 』の川尻善昭が担当している。

さすがにこの作品は観たことがないだろうと思っていたら、この作品も見た記憶があった。特に序盤のSFとミステリーが融合された引きの強い展開は、かなりはっきりと覚えていた。宇宙船を脱出するため、船員がそれぞれ個人用の脱出用シップに乗り込む。この乗り物は、同じ軌道で動いているものの、自分達で動きをコントロールすることができない。そのため少しでも軌道がずれると、いつしか大きく進路が異なってしまい離れ離れになってしまう。

この脱出用シップの一つには、死んだはずの牧村の乗ったものがあり、他の船員達のシップの最後尾で後を追っていた。ここにミステリーの要素が含まれている。この状況設定がまず凄い。そして、そんな人間の無力感を感じさせられる状況の中で、彼らが語るのはナナという女性乗組員を巡る恋愛の話だったりするのだ。

そして、いくつかの脱出用シップが奇跡的に地球と同じ環境を持った星に漂着したときに、前半に残っていたミステリー部分(牧村の謎)が明らかにされる。しかもそれが火の鳥と大きく関係していくのだからさらに凄い。手塚治虫の言葉を借りるなら、完全に帰納法的に作られた作品であるが、その組み立て方がこれまで見た2作品を越えて素晴らしかったように思う。演繹法的なキャラ立ちという意味では、劇場公開された『 火の鳥 鳳凰編 』が一番だったが。

ところで、そもそも火の鳥というのは神様ではないのね。人間が犯した罪の償わせ方が、罪を犯した本人を醜い顔にするだけならまだしも、子孫にまで酷いことをするとか言ってるわけで、超やり過ぎな感じw

あと、この三部作(と言っていいかはわからんが)のアニメーション制作は、手塚プロではなくマッドハウスなのだそうな。マッドハウスって昔からOEMの得意な会社だったんだな。

漫画版が積読になっているので、そちらを早く読まねば…。

Posted by Syun Osawa at 01:04