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2009年08月04日

黒い手帖 ― 創価学会「日本占領計画」の全記録

矢野絢也/2009年/講談社/四六

黒い手帖 ― 創価学会「日本占領計画」の全記録福本潤一『 創価学会・公明党「カネと品位」 』に続いて、創価学会の暴露本を読んだ。別に恨みがあるわけでもなんでもない。最近流行の「連帯」というキモめのキーワードを頭に浮かべたとき、1968年の新左翼ももやいもhatenaもニコニコ動画も重要かもしれないが、創価学会も重要だろうということで、彼らが果たしてきた役割についても少しだけ把握しておきたかったのだ。

この本にも福本氏の本と同様に怪しげなことがたくさん書かれていた。言論出版妨害事件、二度にわたる宗門との紛争などは有名だが、公明党のパンフレットは1000万部も刷っている話(しかも有料らしい)とか、規模のでかいエピソードがいろいろ語られていて面白かった。

中でも、僕が小学生の頃から疑問に思っていたことが一つ解決したことが大きかった。それは「何故、公明党は政権与党にこだわり続けるのか?」ということである。

単純に考えれば、そうした行動は権力に擦り寄りたいというコウモリ的な卑しさを与えるだけなのだが、そうするだけの理由があったのだ。この本によると政権与党にいなければ、池田大作氏を参考人招致で国会に呼ばれてしまう可能性があるらしい。だから与党に居続けて、参考人招致をしないように圧力をかけているのだそうな。「ええっ?それだけ?」と軽く腰を抜かしそうになったが、民主が政権を奪取する可能性が高まっている今、公明党が民主との連立も完全に否定していないところを見ると、あながち嘘でもなさそうだ。

これが本当なら、公明党の指名は池田氏を守るための組織になっているということだ。昔から創価学会を支持してきた人はそれで満足なのだろうか? 著者にしても福本氏にしても、カルト教団の信者がマインドコントロールを解かれて我に返ったわけではない。彼らは今でも創価学会を愛しており、今の創価学会のあり方に大きな疑問を持っているからこそ、暴露本めいたものを書いているのだ。

島田裕巳『 創価学会 』で、創価学会が拡大した理由の一つとして、都市に流入した地方労働者の孤独や不安を和らげる相互扶助機関として機能していたことを挙げていたが、今はそういうところからは遠く離れているように思える。また、島田裕巳『 日本の10大新宗教 』によると、新興宗教の場合、教祖の死が一つのターニングポイントになるらしい。池田氏までの三代の指導者を「永遠の指導者」としてしまった創価学会は今後大きな分裂が起こることが予想される。

こうした先行き不透明な組織が、矢野氏や福本氏のような体を張った暴露本に対して真摯に向き合わないのであれば、その末路はこれまでの新興宗教同様にその力を弱める方向以外にはないのかもしれない。で、今の状況を知りたくて2ちゃんねるの創価・公明板をのぞいたら、もはや何が何だかわからなくなっていたw

Posted by Syun Osawa at 00:16