bemod

2009年12月12日

サンシャイン 2057

監督:ダニー・ボイル/2007年/イギリス

サンシャイン 2057宙博 2009 へ行った後、無性にSF映画が見たくなって、ダニー・ボイル『サンシャイン 2057』を見ることに。もともとダニー・ボイル監督作品は、『スラムドッグ$ミリオネア』がヒットした時に、『シャロウ・グレイブ』や『トレインスポッティング』の監督だと知って興味を持ち、話題作の『28日後...』等いくつかを見ようと決めていたのだ。

SFとか全然見ないくせして、この作品のSF考証にちょっとだけ引っかかってしまった(『 サマーウォーズ 』のときも引っかかってたか)。別に僕は科学に詳しいわけじゃないから、僕のひっかかり自体が間違っているのかもしれないが、太陽に核爆弾をぶつけるための宇宙船に、わざわざ人間が乗る必要があるのだろうか? しかも10人近くも…。人間が乗ることで、酸素、水、食料などが余分にいるし、温度も調整しなければならない。そもそも、どうやってマンハッタン島くらいの大きさの核爆弾を大気圏へ撃ち出したんだ? という根本的な問いで止まってしまうので、そこでようやくこの映画を見るにあたって、そもそもこういう問いが愚問であることに気づいた。

ストーリーはなかなか僕好みだった。

序盤は『 火の鳥 宇宙編 』のオープニングと似ている。で、この映画は宇宙船の漂流系SFなんだな…なんて軽い感じで見ていたら、イカロス1号が出てきたあたりから、一気にミステリー色が強くなって、最後に哲学的なテーマへと変遷しながらパニック映画のような雰囲気に。その流れ方が唐突というか、あまり予想していない方向にストーリーが進むので、ゆったりした作品ながら飽きさせない。こういう演繹的に見えるストーリーは、上手くいくと帰納法で構造的に組み立てられたストーリーよりも大きなドライブ感をもたらす。この作品は、演繹法っぽく物語を展開させることに成功した、一つの好例ではないだろうか。

そんなわけで、宇宙での無重力状態をどう描くかとか(これを描かなかったのも潔い)、そういうディティールの事を突っ込むのではなく、あくまでもストーリーで勝負している点が好印象。ダニー・ボイルっていい監督だね。

Posted by Syun Osawa at 01:25