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2013年03月07日

名前のない女たち ベストセレクション

中村淳彦/2011年/宝島社/文庫

名前のない女たち ベストセレクション森下くるみ『 すべては「裸になる」から始まって 』を読んだあたりから、AV女優や援助交際などの本が読みたくなっている。おそらく、アイドルヲタ的な関心に加え、ここ数年興味を持っているコミュニティの問題、格差問題などとどこかで通底していると感じているからだろう。

この本では、企画モノのAVに出演した11人の女優たちのルポが書かれている。ナンパシリーズ、大学生ヤリ目合コンといった企画に合わせて、数合わせに出演する女優たち。彼女たちが得るのはセックスを映像におさめて得た対価だけで、単体女優のような象徴資本は得られない。もちろん、恵比寿マスカッツに入ることもない。

そういう意味では、アイドルと合わせて何やらを考えるのはちょっとしんどい。どちらかというと、青砥恭『 ドキュメント高校中退 』や生田武志『 ルポ 最底辺 』のような階層問題だったり、家庭や学校における「居場所探し」の問題だったりに考えるべきポイントがあるのかもしれない。

とはいえ「こういう人はAV女優になる」みたいなものがあるわけではなく、AV女優になる理由は様々だった。共通しているのは、性行為をお金と等価交換できるものと見なしている点で、この価値の転換にこそ何やらがあるのかもしれない。

あとは若年層のレイプ問題。たぶんこれが一番深刻な問題なのだと思う。今回の本の中にもレイプされた女性が何人もいて、自分が汚れた人間だという意識を持ち続けるところからAV女優になるケースも少なくないようだ。

Posted by Syun Osawa at 01:26