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2005年12月14日

東京府美術館の時代 1926〜1970

2005年9月23日−12月4日/東京都現代美術館

東京府美術館の時代 1926〜19701926年から1970年という時代設定ながら、戦争関連はほぼ無し。戦争画に至ってはその影すらなかった。残念。

東京府美術館(現・東京都美術館)時代の匂いを感じながら、中村不折《裸体習作》や浅井忠《伝通院》などを見つつ歩いていると、竹内栖鳳《蹴合》がデーンとあった。竹内ファンにはたまらない一品。特に右側の鳥のグイッと伸ばされた首の感じが良いです。

展示ブースの中ほどで、1940年に開催された「紀元二千六百年奉祝美術展覧会」の作品が展示されていた。この当時は大画面の戦争画が数多く制作された時期にもあたり、アメリカの現代美術の影響があったかどうかは知りませんが、とにかく絵がデカくなる。凶暴なトラを左右に配置させた竹内栖鳳《雄風》もデカい。そのほかにも松本俊介《街にて》や人形では6人のふんどし姿の子供たちが可愛い高浜かの子《騎馬戦》などもあった。たしか松本俊介はこのあと「生きている画家」を描くんですな。

ちなみにこの展示会の名前を聞いてピンと来た。先日行った 遊就館「常設展」 にもこの展示会に出品された絵があったからだ。清水多嘉示さんの《重慶夜間爆撃行》という絵で、こちらは完全な戦争画。今回の展示会では戦争に関連するものは綺麗に外されていた。何でだろう?

このブースを終えて、3階に上がると読売新聞が主催していた「読売アンデパンダン展」の出品作がたくさん並んでいた。タイル張りで作られた岡本太郎《太陽の神話》や『 フジタよ眠れ 』『 絵かきが語る近代美術 』の菊畑茂久馬さんの作品《奴隷系図》などがあった。《奴隷系図》は立体で、アボリジニの民族楽器(ジャミロクワイが使ってたヤツ)みたいな長い物体を男女に見立て(片方にはチンチンがついているのでたぶん男女)、神々しく飾られていながら、顔のところには黒いボロ切れかかぶせてある。そしてそんなオドロオドロシい物体のまわりには5円玉が散りばめられていた。菊畑さんの本を読んだ後でこの作品を見ると、神も仏もねぇぜって感じの作者の熱い感情が見え隠れして面白かった。心情的に支持したい作品。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 23:17